62 ページ12
·
涼「やっほ。金曜ぶり」
「……え。あ…うん、…金曜、ぶり」
完全に思考が停止している。
頭も口も上手く回ってないし。
なんだいまの返事、
ロボットか。コミュ障か。
脳内のツッコミだけは通常運転。
「………ええーっと、」
とりあえず、一旦落ち着こう。
小さく詰めていた息をゆっくりと吐き出す。
改めて。目の前にいるのは、
大「一瞬、意識が宇宙に飛んでたな」
この状況を楽しそうに見守る大貴と、
涼「目まん丸になってたよ、A」
その隣で微笑む涼介。
…う。かっこいい、
じゃなくて。
頭をぶんぶん振る。
……いやいや、なんで？
ここ大貴の部屋だよね？
思わず辺りを見渡す。
ドアの横に乱雑に置かれているサッカー道具に。
棚に並んでいる洋楽のCD。
視線を移せば、机に何冊も積まれた少年漫画と。
起きてからそのまま放置されたのか、所々捲れているベッド。
中学の頃から変わらない見慣れた風景。
この絶妙に生活感のある、男子らしい散らかり加減は。
…うん、間違いなく大貴の部屋だ。
大「なんか絶対失礼なこと考えてるよな」
「…まさか、」
鋭い。
今日も幼馴染のアンテナはばっちり立っている。
でも、もう自力で考えるのはここまでが限界。
なんでここに涼介が？
そろそろこの状況を説明してほしい。
そんな思いの目を大貴に向けると。
伝わったのか、彼は少し口角を上げておもむろに口を開いた。
大「喫茶店に行ったんだよ、初めて会った日のあと」
·
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 67人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：やぎ | 作成日時：2024年3月7日 15時
