キセキ (ページ5)

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優吾side

そういえば、もうすぐクリスマスだ。
そろそろプレゼントを用意しないとな。そのためには何が欲しいか聞かないと。

「2人とも、サンタさんに手紙書こうか」

便箋と鉛筆を出してきて、双子を俺の両サイドに座らせた。

「サンタさん？」
「あれだよ、プレゼントをくれる太ったおじいさん」
「？」
「ほら、煙突から入ってくるって言う」
「うちに煙突なんてないよ」
「窓から入ってくるんじゃないの？」
「ふほーしんにゅーってやつ？」

サンタさんが分からない大志に、風歌が説明している。が、何というか。

お前ら、ホントに3歳か？

「欲しいものを書いてお願いすると、そのおじいさんが持ってきてくれるってこと？」
「いい子にしてたらな」
「たいし、いい子にしてるよ！」

ちゃんとママの言うこと聞いてるし、とアピールする大志。

「まぁ、とりあえず欲しいもの書いてみな。俺がサンタさんに届けるから？」
「どうやって？LINE？メール？」
「てか、サンタさんってホントにいるの？」

何だろう。大志とはジェネレーションギャップを感じる。
それに風歌、もう一度言う。
お前ホントに3歳か？
年齢詐称してないか？

「いや、届ける方法は言えねえし。それにサンタさんを信じてるからプレゼントが来るんだよ」

ごめんなさい、嘘です。去年君たちに来たのは深澤辰哉です。
クジで見事にサンタを引き当てたのでコスプレをノリノリでしてました。

「サンタさん、何でもくれるんだよね？」
「まぁ、できる範囲でだな」
「ならたいし、パパが欲しい」

パパが欲しい。

その言葉が脳にたどり着くまで、数秒の時を要した。

前に一度聞かれたことがある。
“たいしにはなんでパパがいないの？”と。
風歌は何かを察しているのか、そういうことは尋ねてこなかった。

あの時、俺はなんて答えたっけ。

「とりあえず、書いてみな。サンタさんが何とかしてくれるかもしれないから」