キセキ (ページ3)

今日:2 hit、昨日:17 hit、合計:158,041 hit

, ページ3

優吾side

今日は、俺の家にAとその子供たちが来る。Aが仕事なので双子を預かるのだ。

「いつもごめんね」
「ぜんぜんいいよ。2人ともいい子だし」

Aはあの頃から少し変わった。茶色っぽいロングヘアと中性的な顔立ちは変わってないんだけど、何というか。母親って感じがする。

「おじちゃん、あそぼ！」
「ふーは絵本読みたい」

Aの子供は一卵性双生児で、性別がそれぞれ違う。大志が男の子で妹の風歌が女の子だ。男女の一卵性双生児が生まれるのは非常に珍しいことらしい。顔は似てるけれど、性格は真反対の双子だ。

「なんか2人ともさ、貴族って感じしない？」
「そう？普通だと思うけどでも、もしそうだとしたら、親譲りかな……」

Aは寂しそうに呟いた。

双子の父親は、大我だ。

親が両方とも美形だから、双子も当然のように美形だ。中性的な顔立ちで、丁度Aと大我の顔を足して二で割ったくらい。性格は大志が大我似で、風歌がA似だ。

ふと思った。
双子の存在を大我は知らない。本当にそれでいいのだろうか。

「本当にきょもに伝えなくていいの？」
「それきくの何回目？」

Aは少し笑ってそう言った。でも、俺の質問の答えは返ってこない。

「私はバレない限り話さないよ。そう決めたからね。まぁ、いつかはバレるんだろうけど」
「Aのきょもに迷惑をかけたくないって気持ちも分かるよ？もし、俺がAと同じ立場だったとしても同じ選択をすると思う。でも、これはAだけの問題じゃないから。Aだけが親としての責任を背負う必要はない。」
「高地にしてはまともなこと言うじゃん」
「何だよ、俺にしてはって」
「そのまんまの意味。そろそろ時間だから行かなきゃ。大志、風歌、いい子にしててね」
「うん！」
「いい子にする！」

Aは双子の頭を撫でると、宜しく、と言って仕事に向かった。不安だな。

「おじちゃん、ゲームしよ」
「ふーに絵本読んで」

ほら、すぐに意見が割れた。

「順番な。一度には出来ないから」
「たいしが先ね」
「大志はお兄ちゃんだからふーが先なの」

風歌は頭がいいからな。

「やだ。大志が先」
「違う。ふーが先なの」

前言撤回。我が儘な子だ。さすがあの2人の遺伝子を半分ずつもらってるだけあるわ。いつもこの双子の相手をしてるA、マジで尊敬する。あと双子を預かることがあるふっかさんとか阿部ちゃん達。どうやってこの子らを納得させてんだろ。
今度、聞いてみよう。