キセキ (ページ16)

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大我side

何だよ、これ。

Aに子供？

誰との？

一気に与えられた情報が多すぎて、頭が混乱している。

「どういう事ですか、Aに子供って」

何とか絞り出した声は、弱々しく震えていて、自分のものではないようだった。

AがSixTONESから脱退して、俺の前から姿を消したのはこの子達がいたから？

「どういうことも何も、そういうことだ。Aには3歳の双子がいる」
「滝沢くん！」

高地が慌てたように、滝沢くんに声をかけた。
高地は知ってたの？
何で黙ってたんだよ。俺の思いを知っていたくせに。

このやり場のない醜い感情はどうすればいいのだろうか。

「その双子って、京本の子供ですよね？」

ずっと黙っていた北斗が、滝沢くんと高地を交互に見ながら尋ねた。

「そうだ。5月生まれの一卵性双生児だ」
「滝沢くん……」

俺の、子？

正直、全くその可能性に思い当たらなかった。
Aの子供が今3歳だとしたら、生まれたのは2018年。赤ちゃんは生まれるまでに約10ヶ月ほど母親のお腹の中にいるから、5月生まれだとしたら2017年の7月頃に妊娠したということになる。Aのデビューが決まったのは8月の下旬だった。
その辺りからAは俺を避けるようになったから、Aは俺にバレないようにしようとした？
でもなんで？

「Aは、きょもを守りたかったんだよ」

高地が俺の疑問に答えるように言った。

「ジュニアで子供がいるだなんてしれたら、人気が落ちて、グループ全体に迷惑をかける。Aはそう考えたからきょもに言わなかったんだ」
「さっきAにも連絡した。この週刊誌の発売は四日後だ。それまでにどうするかを決めなさい」

滝沢くんはそう言って楽屋を出ていった。

なんだか、夢でも見てるみたいだ。