61話「本当の言葉」 ページ25
宮古くんの発した言葉の意味が、すぐには理解できなかった。
数秒経って、私よりも先に諏訪くんが「宮古・・・」と静かに口を開いた。
諏 「お前は・・・本当に、そう思っているのか?」
宮 「・・・どういう意味?」
宮古くんは穏やかな声で聞き返したが、諏訪くんはそのまま黙ってしまった。答えられない、というよりは、宮古くんにわざと答えを出させようとしているかのような沈黙だった。
けれど宮古くんは顔を伏せ、これ以上言葉を続ける様子はない。
「宮古くんと奈津のいるべき場所って、どこなのかな」
私が言うと、宮古くんは「え?」と顔を上げた。
「だって、奈津も宮古くんも、たくさん友達がいるでしょ?
宮古くんの"いるべき場所"って、その中の本当はどこなのかなって思って」
宮 「どこって・・・それは・・・」
口ごもった宮古くんに、さらに「宮古くんはさ」とかぶせる。
「奈津と一緒にいると、ああ違うな、とか、一緒にいるべきじゃないな、って思うことがあるの?」
宮 「そんなことないっ!!!」
急に大きくなった声に比例するように、宮古くんの表情が初めて険しいものになった。
宮 「・・・そういうことじゃないんだ。──そんなこと、少しも思ってない。
ただ、悔しかったんだよ」
「悔しかった?何が?」
意味を捉えかねる言葉に思わず聞き返したが、宮古くんはちょっと表情を緩め、「君たちにはきっと分からないよ」と微笑んだ。
失礼な台詞だなあ、と思いながらも、少しの怒りも感じていないことに気づく。宮古くんの言葉に、少しも悪意が含まれていないからだろう。
諏 「宮古」
宮古くんが視線を向ける。
諏 「それなら、することは一つだろ」
宮 「・・・随分簡単に言うんだね」
諏 「?簡単だろ」
心底不思議そうに首を傾ける友人を見て、宮古くんは「ははっ」と今度は声を上げて笑い出した。
呆気にとられる諏訪くんと私を残してしばらくお腹を抱え、目に涙が浮かんできたところで、目尻を拭い、
宮 「・・・そうだね」
ともう一度微笑んだ。王子スマイルでも、自嘲気味の笑みでもなく、自然に、嬉しそうに緩んだ頬を見て、諏訪くんと顔を見合わせる。
諏 「これで落着か?」
「何いってるの、まだだよ。しっかり仲直りしてからでしょ」
宮 「諏訪は本当に天然だな」
諏 「天然ってなんだ」
宮・A 「「そういうとこだよ」」
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あかり(プロフ) - 京さん» いやほんとに、作者自身も唯人くんのキャラ変に恐怖を感じております…。考えてもいない展開に進んでて作者もびっくりっす←ありがとうございます!冬休みなんで今こそ亀更新を改善しようと試みております!! (2018年12月27日 12時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - 何!?もうこわい!唯人君どうしたん!?ストーカー通り越してサイコストーカーやで!?((失礼しました。あまりの変化ぶりにちょっとリアルでいそう…。と思ったのでつい((宮古君のほうも楽しみですねぇ!更新頑張ってください! (2018年12月27日 9時) (レス) id: abb6f0cd00 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます!宮古くんPartの方が明らかに長いですねすみませんんん(( (2018年12月11日 22時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - リク早速書いてくださりありがとうございます!宮古くんの裏?の本音みたいなのが見れてすごくよかったです!!ありがとうございました(´ω`) (2018年12月11日 7時) (レス) id: e1cfe1ea92 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 夜さん» リクありがとうございます!それはもう、諏訪くんは手塩にかけてかわいさを磨いております!←諏訪&主人公でちょっとむずっとする関係のふたりの日常で書かせていただきます!)^o^( (2018年12月10日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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