58話｢ヒーローは欠伸しながらやってくる｣ ページ22
｢──私は､今の場所にいたい｣
シン､と沈黙が落ちる｡
奈津でさえも神妙な顔で黙ってしまったのを見て､私はなぜかちょっと焦った｡
言いきった感出てたけど､なんか柄にもないこと言ったような…
あ､待って今さら恥ずかしくなってきた…あ､ちょ､辛いかも…
羞恥心を堪え切れなくなった私は､｢あのー･･･｣こそっと手を挙げた｡
｢今のカットってことには･･･｣
諏 ｢二ノ瀬？磯野も･･何をやってるんだ？｣
私の全力の懇願を遮った張本人が､こて､と首を傾ける｡うん､だろうと思ったよ｡ほんっとおいしいとこ持ってくよね｡
諏 ｢まだ帰ってなかったのか？｣
そういえば､今日は奈津と二人きりにしてくれと頼んでいた､と思い出す｡きっとわざわざ気をきかせて下校時間をずらしてくれたんだろう｡
･･･私が諏訪くんに頼んだときから既にフラグは立っていたということなのかそうなのか｡
｢なんでもないよ｣
奈 ｢いやこの状況でなんでもないは通じねーだろおおお！？｣
諏 ｢そうなのか｣
唯 ｢あっ､納得するんだ｣
諏 ｢冗談だ｡･･･お前は誰だ？｣
唯人は再び首を傾けた諏訪くんに呆気に取られながら､｢Aの､友達､です･･･？｣と言いながら視線をこちらに送ってきた｡巻き込まないでください｡
諏 ｢友達か｡もしかして､転校前の高校のか？｣
唯 ｢あっえっ､はい…？｣
諏 ｢よろしくな｣
真顔の諏訪くんにブンブンと無理矢理シェイクハンドをされている唯人は､さっきまでの異様なまでのオーラはどこへやら｡
目を白黒させている｡･･･無理はないけど｡
｢諏訪くん､はいそこまで｡離してあげて｡死んじゃうから｣
諏 ｢？ああ､分かった｣
唯 ｢･･･っき､君は一体誰だ？Aとどういう関係なんだい？｣
我に返ったらしい唯人が､諏訪くんを鋭く睨みつける｡
諏 ｢どういう関係って･･･師匠だ｣
唯 ｢･･･は？｣
｢ねえ語弊があるよ｣
師匠ってまだ言ってたのか､諏訪くん｡口を半開きにして宇宙人を見るような目で彼を凝視する唯人は､慌てたように私を見た｡
唯 ｢なあ､A｡本当に俺と帰る気はないのか･･･？｣
あ､ついに諏訪くんをスルーした｡
私は込み上げる笑いを堪えながら､｢うん｡戻る気はないよ｣と返す｡
｢私の意思は変わらないから｣
諏 ｢二ノ瀬は俺達の仲間で､友達だ！｣
｢･･･っへ？｣
唐突過ぎる言葉に､思わず諏訪くんを見る｡
59話｢妙にシリアス｣→←番外編･お正月企画｢諏訪くんは既読しない｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかり(プロフ) - 京さん» いやほんとに､作者自身も唯人くんのキャラ変に恐怖を感じております…｡考えてもいない展開に進んでて作者もびっくりっす←ありがとうございます！冬休みなんで今こそ亀更新を改善しようと試みております！！ (2018年12月27日 12時) (
レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - 何！？もうこわい！唯人君どうしたん！？ストーカー通り越してサイコストーカーやで！？((失礼しました。あまりの変化ぶりにちょっとリアルでいそう…。と思ったのでつい((宮古君のほうも楽しみですねぇ！更新頑張ってください！ (2018年12月27日 9時) (レス) id: abb6f0cd00 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます！宮古くんPartの方が明らかに長いですねすみませんんん(( (2018年12月11日 22時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - リク早速書いてくださりありがとうございます！宮古くんの裏？の本音みたいなのが見れてすごくよかったです！！ありがとうございました(´ω`) (2018年12月11日 7時) (レス) id: e1cfe1ea92 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 夜さん» リクありがとうございます！それはもう､諏訪くんは手塩にかけてかわいさを磨いております！←諏訪＆主人公でちょっとむずっとする関係のふたりの日常で書かせていただきます！)^o^( (2018年12月10日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
