55話｢ぞわり｣ ページ18
｢･･･ど､うして､私の番号を？｣
『そんなこと簡単だよ｡俺は､Aを見つけるためならなんだってする｡手段は問わない』
｢なっ･･･｣
あまりの驚きに､言葉が出なくなる｡
唯人｡私が離してしまった二つの手のうちの､一つ｡
目を閉じれば､脳裏に､あの時の唯人の苦しそうな顔が浮かぶ｡
私が傷つけた､唯人の顔｡
忘れていたつもりに､なれていたのに｡
｢･･･あ､あの時のことは､謝るね｡本当にごめん｡でも､私の気持ちはあの時と変わってない｡こっちでは新しい友達もできて､｣
『俺が聞きたいのはそんな言葉じゃない』
｢っえ､｣
急に低くなった冷たい声が､私を遮った｡
感情のない人形のような抑揚のない声が､『どれだけかかったと思う？』と淡々と尋ねる｡
｢どれだけって･･･｣
『使える時間は全部使ってきた｡部活もやめて､Aのためだけに過ごしてきた｡ねえ､A｡そろそろいいだろう？』
｢何､が？｣
問うと､数秒の間の後､
『俺だけのモノになってよ』
ねだるように甘く､服従させるほどの圧を持ったその一言に､背中を嫌な汗が伝い､うなじの後れ毛がぞわりと動いた｡
スマホを持った手が汗で滑り､取り落としそうになる右手を､左手で支える｡
｢･･･っ無理､だよ｣
『どうして？』
｢だって･･･私にはもう､こっちに友達がいるの｡ちょっと天然だったり､弟に甘かったり､口が悪かったり､王子様なのに毒舌だったり､普通じゃないところもたくさんある｡けど･･･大切にしたい､人たちだから｣
だから､唯人のものにはなれない｡
そう告げると､スマホの向こうは急に静かになった｡
諦めてくれたのかな？と少し安心しつつ耳を澄ませていると､やがて通話が切れた｡
ツーツーと音を発する画面を複雑な気持ちで見ていると､背後から｢二ノ瀬｣と声をかけられた｡振り返ると､諏訪くんが首を傾けて立っていた｡
諏 ｢何してるんだ？電話､長かったな｣
私は首を振り､｢ううん､なんでもないよ｣と返した｡
諏 ｢そうか｡なら戻ろう｡晴がすごくゲームが上手いんだ｣
｢うん｣
諏訪くんと一緒に深空の部屋に入りながら､スマホをポケットに戻す｡いつのまにか､嫌な汗は消えていた｡
けれど､私の心には､今だ不安が燻っていた｡
+++
唯人side
唯 ｢大切にしたい人たち､だって？
･･･そんなの､許すわけないだろ､A｡
君は､俺だけを見てればいいんだよ｣
.
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あかり(プロフ) - 京さん» いやほんとに､作者自身も唯人くんのキャラ変に恐怖を感じております…｡考えてもいない展開に進んでて作者もびっくりっす←ありがとうございます！冬休みなんで今こそ亀更新を改善しようと試みております！！ (2018年12月27日 12時) (
レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
京(プロフ) - 何！？もうこわい！唯人君どうしたん！？ストーカー通り越してサイコストーカーやで！？((失礼しました。あまりの変化ぶりにちょっとリアルでいそう…。と思ったのでつい((宮古君のほうも楽しみですねぇ！更新頑張ってください！ (2018年12月27日 9時) (レス) id: abb6f0cd00 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます！宮古くんPartの方が明らかに長いですねすみませんんん(( (2018年12月11日 22時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - リク早速書いてくださりありがとうございます！宮古くんの裏？の本音みたいなのが見れてすごくよかったです！！ありがとうございました(´ω`) (2018年12月11日 7時) (レス) id: e1cfe1ea92 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - 夜さん» リクありがとうございます！それはもう､諏訪くんは手塩にかけてかわいさを磨いております！←諏訪＆主人公でちょっとむずっとする関係のふたりの日常で書かせていただきます！)^o^( (2018年12月10日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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