7話「強さの定義」 ページ8
諏訪side
「テメェ、ナメてんだろ?」
「痛い目見せてやろーぜ」
「弱そーww喧嘩なんてできんのかよ」
諏 「っ・・・!」
別に、怖いわけじゃない。
ただ、不安はあった。
喧嘩をしたこともない俺が、コイツらに勝つことなんてできるのか。
弱さを見せたら終わりだと思い、威勢良く言い放つ。
諏 「かかってこいっ!」
舌打ちと共に距離が縮まり、握られた拳が俺を捉える。
「やっぱ弱そうだなぁ!!」
怒声が頭上から降りかかる。
・・・あ、もう、
「目開けて、諏訪くんっ!」
叫ぶような声に、俺は閉じかけていた目を開いた。
「頭、下げて!!」
この声・・・
反射的に膝を曲げ、姿勢を低くする。
「おわっ、ちょっ・・・グッハア!」
ドサッ。
音がして、顔を上げる。
さっきまで俺を狙っていたはずの男が三人、俯せに倒れていた。
そしてそこに、一人の勇者。
:
諏 「二ノ瀬・・・なんでここに」
「こっちのセリフだよ!」
突如響き渡った怒声に、ビクッと肩が揺れた。
「諏訪くん、喧嘩したことないって自分で私に言ったよね?どうして一人で突っ走ったの?」
激しさこそないものの、怒りは強く伝わってくる。
諏 「悪ィ・・・」
今の俺には言い訳の余地はない。
けど・・・
諏 「俺、気づいたら足が、」
反論をしようとして、彼女の細い足に目が止まった。
膝の下あたりが、少し赤い。
諏 「・・・蹴ったのか」
「え?ああ、うん。久しぶりだったから、まあまあかな」
そう言って、二ノ瀬はスカートの折り目を直す。
俺はそっと、唇を噛んだ。
諏 「・・・っ悪ィ。迷惑、かけた」
俺は結局、何も出来てない。
喧嘩も出来なければ、殴り合いも出来ず、誰かを助けることすらままならない。
・・・こんな俺が喧嘩を、なんて無謀だったのか。
そう、うつむきかけた時。
「そんなの、今さらだよ」
それはもう、軽く。
「今日の定食、ロースカツだって」と、そういうのと同じくらい、軽く、何気なく。
彼女は言った。
「それに、諏訪くんは強いと思うよ」
諏 「は?」
強い?俺が?
首を傾げると、二ノ瀬は「ぷっ。」と笑った。
「分かってないの?自分一人で無茶なことしようとする人は、十分強いよ」
そう微笑んで去っていった二ノ瀬の後ろ姿を、俺は、一生忘れないだろうと思った。
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あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
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