20話「クライ夜」 ページ21
「・・・ん・・・」
重い瞼を開けると、ぼやけた視界に窓の外の暗闇が映った。
あのまま寝てしまったようだった。夕飯らしきカレーの匂いが、2階のここまで漂ってくる。
母 「Aー、ご飯できたけどー?」
「今日は大丈夫ー!」
軽く返して、再びベッドに顔から倒れ込む。
お腹は空いていた。けれど、食べる気は起きなかった。
思い出したくなかった。胸を占める罪悪感も、呆然とした諏訪くんの表情も。
「あー・・・」
母 「Aー、ちょっとー」
再び階下から母の声が響き、体を起こす。
なんだろう、夕飯は断ったはずなのに。
「なにー?」
母 「お父さんに今日遅いか聞いてみてくれない?ちょっと今手が離せなくて。ついでに宗介にも」
「いいけど」
宗介というのは兄で、社会人として働き始めて今年で5年目になる。
そういえば、最近は仕事が忙しいようであまり顔を合わせられていなかった。
今回の転校も、偶然重なった兄と父の転勤が理由だった。
・・・それと・・・
"俺のこと嫌いだろう?"
いや、・・・それより今は連絡だ。確か鞄にスマホが、
「・・・あれ?」
あらら?
「な、」
ない。
どこかで落とした?学校かな、慌てて出てきたし。
学校は時間的に無理だけど、通った道ぐらいなら見に行ける。
身支度を整えて、下に降りた。
「お母さん、私ちょっとコンビニ行ってくるね。電話、家のでいい?」
母 「それはいいけど、スマホどうしたの?」
「充電なくて」
母「あれ、珍しい」
「はは」
まさかクラスの男子に動揺して忘れてきたなんて言えない。
内心苦笑いしながら、受話器を持ち上げる。
「番号なんだっけ・・・(トゥルルルルルぅわっ!?」
番号キーに指をかけた瞬間、電話がけたたましい音で鳴った。
映し出された番号に、目を見張る。
「私の番号・・・」
母「電話?見たことある番号?」
「いや・・・・・ないよ」
母「出といてくれる?セールスとかだったら断っちゃって」
「わかった」
答えて、応答ボタンを押す。どうして、私のスマホの番号が?耳に当てると、「もしもし」という低めの声が聞こえた。
それが誰かなんて、すぐにわかった。
「諏訪、くん・・・?」
21話「唐突に現れるのはヒーローでも悪役でもない」→←19話「タイムマシーンは使えない」
41人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかり(プロフ) - ISLAYさん» ありがとうございます!!そうなんですよー!主人公よりかわいくあれ!と思って書いております←(^^ゞ (2018年11月26日 18時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
ISLAY - 諏訪くんって、可愛いですよね。 (2018年11月26日 9時) (レス) id: a0fdea4e50 (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - まひろさん» ありがとうございます^^イラスト集が完結した分、こちらの更新が亀にならないよう気をつけていく所存です!← (2018年11月24日 14時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
まひろ - とっても面白いです!!イラストが完結してしまったのは寂しいですが、小説も応援しております!!∩^ω^∩ (2018年11月24日 10時) (レス) id: 117c5ce46f (このIDを非表示/違反報告)
あかり(プロフ) - かぐやさん» ありがとうございます!!諏訪くん私も好きなんですよ~。ちょっと、いやかなり私の好みが組み込まれてます笑 (2018年10月28日 21時) (レス) id: 8b1d55c97a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ