【哀れな男】作戦開始! ページ7
千尋side
千 「よ、よぉ、A」
「んぁ?千尋か。何?」
口に棒付きのアメを突っ込んだ姿で振り向かれ、改めて、俺は本当にこいつの眼中にないんだな、と脱力する。
千 「今週の土曜とか・・・暇だったりするか」
「暇だよ。なんで?」
首を傾げるその仕草さえかわいいと思ってしまった俺を、頼む誰か殺してくれ。
千 「いやその・・・おもしろい映画があるから、どーかなって」
「へえ、部活いいの」
千 「オフだよ」
ふーん、と納得したように頷いたAは「じゃ、舞にもそう伝えとくから」とさらっと信じられないようなことを言い放った。
よろしくな、と言いかけた俺は、「ん?・・・ん!?」と自分の耳を疑う。
千 「ま、舞って・・・?」
「は?どうしたの千尋。舞のこと忘れちゃった?」
千 「あ、いやそーじゃなくて・・・」
なに?ふたりっきりで・・・とか思ってた俺が浅はかだったと?身の程を知れと?そう言われているのか?
「映画かー・・・DVDの方でしょ、どうせ。アクション?アニメ?」
なぜその二択!?コイツ本当に恋愛に興味ねええ。
てかこのままいったら3人で見るはめになるし。流されてるよな、これ?
Aのことだから、わざとスルーしてるとかじゃ全然なくて、ただ単純に鈍感なだけなんだろう、
・・・けど。
それを見て、ふと不安になってしまった自分がいた。
こんなに近いようで、実はとても離れてる距離。これを埋めるとか、やっぱ俺には、無理なんかなー・・・なんて。
恋愛対象になってないし、幼なじみだし。このままでも、充分・・・幸せなんじゃないか?
隣にいられれば、それで、いいんじゃないだろうか?
「久しぶりだなー千尋ん家なんて。楽しみ!」
・・・ダメだ。
俺はなに弱気になってるんだ。
隣にいられればいいだあ?
わざわざDVD買いに行ったんだぞ?ここで負けたら男が廃るだろ。
Aと、このままでなんて、いいはずがない。
行動に移さないと、意味ないんだって。
痛いほど、知ってるはずだろ?
千 「・・・あの、さA」
「んー?」
千 「・・・よ」
「ん?なに?」
千 「他の奴呼ぶのは、やめろよ」
「・・・へ?」
キョトンとしたその顔に向かって、俺はもう一度覚悟を決めた。
───いつかその唇に、俺のを重ねるために。
千 「お前と、ふたりだけがいいんだよ」
3人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あかり | 作成日時:2018年6月28日 22時