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舞side


四樹さんが三葉先輩を見に、席を立ったのは知っていた。


なかなか帰ってこない二人を木内さんが気にしていたことも。



最近、三葉先輩の様子がおかしかった。

特に、四樹さん関連の話の時に。


何かある、と気づいてはいた。




・・・だから、こうしたのに。私は、間違っていたのだろうか。




四 「・・・しょう、と・・・?」



こぼれ落ちるように発っせられた言葉に、私の隣に立つ木内さんの肩がビクッと揺れる。


三 「・・・舞・・・お前、どういうつもりで、」


舞「三葉さんこそ、どういうつもりなんですか?」


三 「!」


舞 「姉に、告白するなんて」



一気に場の空気が緊張を増した。

四樹さんが、口を開く。



四 「ホントよ、三葉。・・・どういう、つもり・・・?」



声が震えていて、それが痛々しい。



四 「分かってるでしょ、私たちは姉弟なんだよ!?彼氏もいるの!」


三 「でも、俺らは・・・っ」


四 「義理でも!!!」



叫ぶような声が響いた。


木内さんに中に入るように促し、後ろ手で扉を閉めておく。




四 「家族、なんだよ・・・?」



崩れるようにその場に座り込んだ四樹さんに、慌てて木内さんが駆け寄って支えた。



四 「・・・悪いけど、私は応えられない」



最後に搾り出すように出た言葉に、三葉先輩の表情が辛そうに歪む。



硝 「・・・出ていってください。・・・お願いします・・・」



懇願する木内さんの声。彼はただ、四樹さんだけを見つめていた。



舞 「行きましょう、三葉先輩」


三 「・・・」


先輩はもう、何も答えない。

私は部屋を出て、先輩の自室のドアを開けた。


ベッドに、先輩を座らせる。




舞 「・・・下手ですね、先輩は」




どうしようもないくらい、不器用で。


恋に慣れていない先輩は、こうして自分の想いをぶつけることでしか、自分の気持ちの扱い方を知らなかった。




三 「・・・俺っ・・・ばかみてー・・・」



舞 「ホントですよ。馬鹿みたい」




恋を知っていれば、それが初恋でなければ、対処できていたかもしれない気持ち。



三 「やっちまった・・・っ」



先輩が零す涙は、誰のため?




舞 「・・・泣かないでください。面倒くさいんで」


三 「めんどくさいって・・・はは・・・」



笑うな。




舞 「・・・馬鹿ですね、先輩は」




どうして、笑うのか。



私も恋をしたら、分かるのだろうか。

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作者名:あかり | 作成日時:2018年6月28日 22時

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