【三角△関係】続 ページ33
硝人side
硝 「遅いな・・・」
弟さんを呼びに行ったはずの四樹さんがなかなか帰ってこず、そわそわしていると、Aさんの友達だという水島舞さんが隣にきた。
舞 「四樹さんの彼氏さん、ですよね」
硝 「はっはい、木内で大丈夫です」
舞 「じゃあ、木内さん。さっきからどうかされたんですか?扉の方を気にされてますけど」
硝 「い、いえ、その・・・四樹さんが、弟さんを呼びにいったまま戻ってこないので・・・」
舞 「四樹さんが?・・・じゃあ、見に行きますか」
硝 「え、え?」
舞 「A、私ちょっと木内さんと、四樹さんと三葉先輩呼びにいってくるから。ケーキ全部食べないでね?」
「まだ口つけてないってば!」
舞 「じゃ、行ってくるから。木内さん、行きましょ」
硝 「はっはい!」
いつのまにか、水島さんのペースに乗せられている。
階段を上りながら、たわいのない話をした。
硝 「あの・・・どうして四樹さんは"さん"付けなのに、弟さんは"先輩"なんですか?」
舞 「ああ、同じ学校の先輩なんですよ」
硝 「なるほど」
そうこうしているうちに、2階に着く。
そういえば舞さんは、1階には目もくれなかった。・・・なぜだろう?
一人首を傾げていると、舞さんが何かつぶやいた。
硝 「舞さん?」
舞 「・・・電気。ついてますね」
確かに、手前から2番目の部屋の電気がついていた。
わずかに開いた扉の間から、光が漏れている。
硝 「四樹さんたちがいるんでしょうか?」
舞 「さあ」
言いながら、少しずつ近づいていく。
『・・・んだよ』
部屋の中から、男の声。
三葉さん、だろうか?独り言?それとも・・・
『み、三葉・・・っ』
硝 「!」
四樹さんの、声。
なぜ?
『関係、あるんだよ、四樹姉』
切迫した三葉さんの言葉。
・・・なんだ?一体中で、何が起こっているんだ?
『だって俺は・・・俺は、四樹姉のことが・・・好きなんだ』
好き。
頭が、真っ白になる。
隣で舞さんが扉を開ける。
舞 「やめといた方がいいんじゃないですか、三葉さん」
ふたり分の、息を飲む音。
この混乱した脳内で、僕は、なぜ舞さんが今だけ「三葉"さん"」と呼んだのか、その意味を考えていた。
そして同時に、・・・あることを、思い出していた。
『妹と弟は義理なの。親父の再婚でね』
義姉弟というのは、ただの男と女が一つ屋根の下に住んでいる、ということなのだ、と。
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作者名:あかり | 作成日時:2018年6月28日 22時