#Ａ【恋人の仕事2】 ページ36
やっと｢諏訪くん｣の方にコラボ書きました！((遅いわ
++++
千 ｢別にないだろ､役割なんて｣
千尋から返ってきた言葉は､私の斜め４５度を通り過ぎていった｡
ない､だと？
｢いや､遠慮しなくていいんだよ？ほら､あるでしょ､願望とか｣
千 ｢う､･･･ない｣
マジかよ｡
今時の男子高校生はみんなこんなに純粋なわけ？
私負けてる気がする｡
千 ｢おい､A｡何ふて腐れてんだよ｣
｢されてないしっ！ていうか､ホントにないの？
そしたら私､何すればいいか分かんないんだけど｣
我ながら情けない｡
けど､本当に分からない｡
だって､千尋が私にとって初めての"彼氏"なんだから｡
何も､分からない｡
千 ｢･･･ばぁあぁああか｣
｢！？｣
すごい馬鹿にされた｡
むっと睨みつけた次の瞬間､頭を荒く撫でられる｡
わしゃわしゃわしゃ｡
｢･･･なに｣
千 ｢お前はお前のままでいーんだよ｣
｢馬鹿にしてる？｣
千 ｢してねえって｡･･･だからさ､｣
ぐっと引っ張られて､千尋の腕の中｡
千尋､心臓の音すごい｡
私といるとき､いつもこんなだったの？
千 ｢Aが好きなんだから､それでいいんだよ｣
･･･恥ずかしいこと､言ってくれる。
変な感じがして､ごまかしついでに千尋の耳を引っ張る｡
｢ばぁあぁああか｣
千 ｢なっ､いてっ｡仕返しかよ｣
｢そーだよ｣
背中に回された腕の力が強くなる｡
私も少し力を入れた｡
ああ､好きだな｡
｢･･･あれ､今･･･｣
千 ｢どうした？｣
体が離れ､顔が近づく｡
･･･まさか､ね｡
｢なんでもないっ｣
千 ｢おわっ｣
今度は私から抱きしめる｡
千尋のにおいがした｡
千 ｢･･･ていうか､俺の方が仕事あんだよ｡好きにさせるって難しすぎだろ･･･｣
その日の帰り道の彼氏のつぶやきを､彼女は知らない｡
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