# 【月の雲】 ページ29
三葉のお話の続きです!
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四 「三葉ー?」
扉を閉める直前、怪訝そうな表情を浮かべてこっちを見る四樹姉が視界に入る。
三 「・・・っ最悪だ」
何が最悪かって?
四樹姉がいるときに女子を連れて来てしまったことが?
それを四樹姉に見られたくないって思ったことが?
・・・いや違う。
そうやっていつまでも四樹姉を引きずってる自分が一番最悪だ。
五 「三葉ー?帰ったのかい?玄関に女の子がいたから、リビングに入ってもらったよ」
三 「あ・・・」
やべ、忘れてた。
・・・って、マジで俺最低じゃん。
三 「わり、ちょっとそこらへんで会ってさ・・・俺の高校に従兄弟がいるんだと。
もう暗いし、五樹兄に車出してもらって送ろうかと思ってたんだけど大丈夫?」
五 「それは別に構わないよ。じゃあ、車表に回すから少し待っててくれるかな?」
三 「ああ。サンキュ」
にこっと笑って五樹兄は去っていった。
・・・あの笑顔で夜鷹さん落としたのか。
三 「・・・行くか」
あまり待たせると、四樹姉と出くわす可能性が高くなる。
情けなくても、しつこくても、それだけは避けたかった。
・・・けどその時、俺は気づくべきだった。
避けたい、そんな風に思っている前に、最悪の状況を想定するべきだったのだ。
二人が、もう会ってしまっている、という可能性に。
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