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#Ａ【終わり】 ページ15
千尋side
｢──もう､いい｡やめよう｣
朝比奈と俺が言い争いを初めてから､一度も声を出さなかったAが､静かに､けれどはっきりとそう言い放った｡
Aの表情が､影で見えない｡
朝 ｢先輩･･･？｣ 千 ｢A？｣
俺と朝比奈は､お互いの胸倉をつかむ手を離す｡
視線を集めたまま､Aはゆっくりと顔を上げた｡
朝 ｢先輩っ･･･？｣ 千 ｢･･･っ｡｣
｢･･･もう､やめよう｡こんなの終わり｡ふたりが言う"恋"がこうやって争うことなら､絶対恋なんてしない｣
Aは､泣いてなんかない｡
瞳は乾いている｡･･･けど､そこには
今まで見たことのないほど､強い決意の色があった｡
｢私は･･･こうなるために､恋を知りたいと思ったわけじゃない｣
言い返そうとするのに､何も出てこない｡
きっと､隣で呆然とする朝比奈も同じなんだろう｡
｢･･･おわり｡こんなのは､もうおわり｣
静かな教室に､Aの声が怪しげに揺れた｡
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