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「……………はっ?」
一拍遅れ、シグマの呆然とした声が響いた。
床に配置されたタンスがずりずりと滑って倒れた。
それはガシャンと音を立て、彼の隣で音を立てて壊れた。
その音を引き金に、彼の脳内が急速に冷えた。
突如、上の方から野太い悲鳴が轟く。
「っ侵入者!?」
先程の悲鳴はここの警備員だ。間違いない。
急いで司令室に!
脳内で警鐘がうるさく鳴り響く。
壁伝いで扉のノブに手をかけ───。
そうはできなかった。
彼の体が、窓ガラスを突き破った“なにか”に吹っ飛ばされたからだ。
「!?」
耳元で風の轟音協奏曲が鳴り響く。
混乱する頭をなんとか落ち着ける。
今何が起こっているかを冷静に把握しようとした。
そして、今自分が謎のツタに腹部を捕捉されたまま吹っ飛ばされているという事実を認識した。
叩いてもびくともしないツタに脳が冷える。
───このままだと晴天の最中に放り出されるっ!
だが、そうなることはなかった。
そのツタの勢いが不意に弱まり、彼はそのままエントランスに投げ捨てられたからである。
幸いカーペットが敷いてあったため大事には至らなかったものの、精神的に物理的に訪れた衝撃に体がついてきていなかった。
「……………え?」
自分の頭上にあるはずの天井はなく、あるのはぽっかりと空いた穴から見えるお天道様のみ。
光速のごときめくられる展開の速さに頭がショートを起こす。
──何が起こっている!?
これは誰かに襲撃されたのか?
でも、先ほどまであれほど賑わっていたホールにいたはずの人は一人として居ず、騒ぎ声なども一声も聞こえてこない。
白昼夢によるまどろみだも思えたらなんと嬉しいことか。
だが、先ほどからじくじく痛む背中がそれを否定していた。
「あら、存外あっけなかったわね」
なんとか起きあがろうとしたシグマの前に、一人の影が歩いてきた。
それは、花だった。
開けた天空カジノに咲く、一輪の麗しき大輪の華であった。
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颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - 四葉のコトリさん» コメありがとうございます!幻想郷vsヨコハマは私の自己満妄想なので、喜んでいただけてとても嬉しいです…。稚拙な素人ではありますが、これからも読んでいただけると嬉しいです!! (2022年1月14日 19時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
四葉のコトリ(プロフ) - 初コメント失礼します!Pixiv見てたら見つけたので来ました!幻想郷をヨコハマが戦うなんて夢のようです!更新頑張ってください!応援しています!文章とても分かりやすいですね!長文失礼しました。 (2022年1月13日 2時) (レス) @page28 id: 9e21ae10ce (このIDを非表示/違反報告)
颯貴@東方&文スト大好き人間(プロフ) - ねこルージュさん» おk、すまねえ…。できたら教えてちょ (2021年12月19日 23時) (レス) id: 61e081417a (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - あ、ビビッドアーミーってやつやってるんだけど、その時の名前がこちらなのでyunanaからこれにかえま〜す (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
ねこルージュ - ありがとありがと。小説は少々お待ち下さいね〜。ツイステ六章で推しが弱るシーンを本能のままに書きなぐってるとこです…では、かけたら言うわ。 (2021年12月19日 21時) (レス) id: f9dc735e37 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯貴@東方&文スト大好き人間 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2021年9月28日 19時