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「んで? なにが禁物なんだって?」
「「!?」」
ふと上空から聞こえる声。
思わず視界を回すも、勢いよく頭を回し蹴りされ意識が飛ぶ。
立原はそのまま成す術もなく地に伏せる。
広津は落椿を発動しようと彼女に触れようとするも、横腹を鱗弾が掻っ切りその場に蹲る。
「爪が甘いんだよ、馬鹿」
静かに呟く彼女の腕には、血の滴る切り傷ができていた。
比類なき脚力は黒き禍犬を穿つか?
「………侵入者の情報を聴いて来てみれば、
貴様のような小娘だとは………ポートマフィアの名が知れるな」
次の階に飛んだ早鬼を待ち構えていたのは、黒外套に身を包む世捨ての禍犬だった。
「お前があの芥川か?」
「如何にも。僕の名は芥川龍之介。
ポートマフィアに巣食う禍犬だ」
「私の名前は驪駒早鬼。
って…………私の姿に驚かないんだね?」
動じない気配を感じた早鬼が少し拍子抜けに呟く。
「嗚呼。僕は凡ゆる異能力者を屠ってきた。
貴様のような手の内の知れた異能力者相手に恐れなどせぬ」
「ふうん…………こりゃ、一筋縄では行かないかな?」
「どうやら貴様も、無力で乗り込んできた
ただの無謀者ではないようだな」
そしてお互い臨戦態勢を取る。
緊迫した空気が漂う中、先に動いたのは芥川だった。
───異能力【羅生門・顎】───
彼の外套が大きく変化し、黒獣の
「おおっ、こりゃあ凄まじいねぇ」
軽々と大きな翼を使って飛び回り避ける早鬼は、帽子を手で掴みながら感嘆の声を上げる。
「強い奴は嫌いじゃない!
私も本気で行かせてもらおう!」
───【鬼符】最強最速の鬼畜生───
その瞬間、早鬼から大量の赤い鱗弾が隙間なく360°ばら撒かれる。
「はははっ、ここは幻想郷ではないからな、くだらない遊戯に縛られることはない!
隙間なき猛攻にひれ伏すがいい!」
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作者名:颯貴@きっちょー | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/MizuhasiSatuki/
作成日時:2021年7月18日 17時