特定人物依存症【キュウレンジャー】

『彼』 ページ15

あの後の記憶はほとんどない。

多分寝てしまったのだろう。

寝巻から制服に着替える。

「あっ…また増えてる。」

太腿から下へと続く、十字の傷。

両足に無数にある。

そう、スパーダも完全な特定人物依存症なのだ。

しかもそれは子供のころから。

彼の発症方法と症状はこうだ。

相手や自分に嘘をついたり、傷つけたりしたら、

激痛が全身を走る。しかも、体を蝕むように徐々に痛みが襲う。

初めてそれになった日は死ぬかと思った。

でももう慣れてしまった。

痛みは一切感じない。

膝下まで広がる傷。

特定の人物が誰かは知らない。

彼は治す方法が｀自分の好きな人´の体液など知らないのだ。

「また…やっちゃった。」

彼はズボンを履き、帽子を被る。

「さあ、今日も素直に生きて、誰も傷つけずに生きないと。」

いつも通りの日が始まった。

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