【鬼滅の刃】俺を忘れた君【冨岡義勇】

忘れないで2 ページ3

「あ、冨岡先生！おはようございます！」


「ああ、Aか…。おはよう。」




キメツ学園に来てから今年で1年が経つ。



キメツ学園で友人ができたし、生徒たちにも恵まれた。



でも、やっぱり俺の世界には色がない。

なぜなのか。その理由はものすごく単純だ。





Aが、俺のことを覚えていないから。



仕方ないことなんだ。本来、それが当たり前なんだ。



でも、やはり俺はAに思い出して欲しい。


そして、きっとまた伝える。




Aのことを、愛しているって。







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「…我妻、髪の色を戻せ」


「エッ、痛あああ！！地毛だって何回言ったらわかるんだよこの鬼教師！！」



我妻善逸、風紀委員。俺は、毎日こいつの髪色をもとに戻させようとしている。



風紀委員なのに自分が校則を破ってどうする…。



しかし俺は、最近注意するのをやめようかと思っている。



「あっ、A先生っっっ！！！

助けてくださいよお、また冨岡先生があああ！」


「あは、大変だねえ…。


じゃあ、まず離れてみようか！」




我妻が、Aに助けを求めて抱きつくからだ。



別に、俺はそこまで心が狭くない。Aと話したり、助けを求めるのに怒っているわけじゃあない。




俺は、我妻がAに抱きつくことに対して怒っている。



なぜ抱きつく必要がある？それは必ずしもしなきゃいけないことなのか？



しかし、教師として校則違反の人を見逃すわけにはいかない。



これからも注意し続けなければならない。



そう思うとゆううつで。でも、教師としての責任感もあって。

俺はどうしたらいいのだろうかと、毎日考えている。




しかし、前にAに抱きつかれて嫌じゃないのかと聞いたら、


『びっくりするけど、嫌なわけではないよ！遠目からヒソヒソ言われるよりもずっと嬉しいかなー』


と言っていた。

Aは優しいから気を使っているのかと思ったが、見たところ嘘はついていなさそうだったから、きっと本当なのだろう。



だから、俺はこれからも注意をし続ける。生徒と話している時のAは、前世で俺と逢引をしている時のように楽しそうな笑顔なのだ。




俺は毎日、複雑な感情で生きている。

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