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暫く暮らしていて、ついに言われてしまった。
私はどうして歳をとらないのか、と。
彼女はもう……たしか、三十代前半でしたっけ。
流石に可笑しいと感じたのでしょう。
なぜ自分だけ時が止まっているのかって。
彼女の顔は老けることなく、周りだけが年老いていく。
皺が増えていくなか、彼女は二十代前半……いや、高校生くらいの顔で時間が止まっている。
「菊さん、どうして私は歳をとらないの? 皆に言われるの、顔が変わらなくて羨ましいって」
ぺたぺたと自分の顔を触りながら、私に問う。
彼女は彼女なりの言い訳でなんとか乗り切っているらしいが、そろそろ厳しいと表情がひきつったと会社での出来事を語る。
私は重い腰をあげ、彼女に優しく言った。
「私が国ということは随分前に言いましたが、今まで隠していたことがあります」
「な、なに……?」
「……私達といると、普通の方とは違った時間軸を生きていることになってしまうのです。歳は勿論りますよ」
「ただ、外見が変わらないのです」
残酷なことを言えば、貴方と共に仕事している人達は貴方をおいて死にます。
そして、青春を共に送っていた同級生は、貴方以外老けていきます。
「そ、そんな、じゃあわたしは、死ねない……の?」
「残念ながら。私といる限りは」
「……そんな」
この日本という国が無くならない限りは死ぬことはできないですが、人の流れを見るのは案外楽しいものですよ。
……まあ、非常に苦しいですが。
「大丈夫ですよ。何があっても守りますから」
「それに、何があろうと後ろにはアメリカさんたちがいる。ね? 安全でしょう?」
そうやって圧をかければ、彼女は諦めたように頷き、泣き崩れる。
そう、私にすがればいいのです。
「仕事も辞めて、私とぽちくんで一緒に暮らしましょう。ぽちくんも喜びますよ」
わん、と可愛く吠えると、心配そうに寄り添うぽちくん。
ああ、これは私が夢見てた時間。
「……幸せになりましょうね」
生きててこんなに満たされることなんて、今後はないでしょう。
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ヘタリア再始動記念
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まひち(やまかがし)(プロフ) - ありがとうございます!萌えました。 (2019年9月12日 17時) (レス) id: 22297e29a3 (このIDを非表示/違反報告)
みずあめ@おれんじ(プロフ) - りらさん» 漫画と違って絵で表現するわけではないので、その状況を想像しながら書いています。それに、自分の好きなジャンルだと、こういう構成で書きたい、とうのが出てくるんですよね…。 コメント有難うございます。これからも更新頑張ります! (2019年9月3日 21時) (レス) id: 879b437594 (このIDを非表示/違反報告)
りら(プロフ) - コメント失礼します。萌えました。すごく。バリエーション豊富なヤンデレに打ちのめされました。それを表現しきれる作者様の語彙力や表現力がすごいんだと思います。同じ物書きなのに何が違うんだろう……素晴らしい作品をありがとうございます。応援しています。 (2019年8月29日 19時) (レス) id: 851a8938a2 (このIDを非表示/違反報告)
みずあめ@おれんじ(プロフ) - まひち(やまかがし)さん» 大丈夫ですよ! 頑張って更新しますね〜。暫くお待ちください! (2019年8月29日 14時) (レス) id: 879b437594 (このIDを非表示/違反報告)
まひち(やまかがし)(プロフ) - ありがとうございます(´∀`*)2pのドイツで、調教をお願い致します。大変なリクエストばかりしてすみません……m(_ _)m (2019年7月30日 21時) (レス) id: 22297e29a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずあめ@おれんじ | 作成日時:2018年7月19日 19時