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この日のAは、本当に機嫌が良かった。
練習を終えたあとはすぐに荷物を片付け、さっさと家へと帰宅する彼女の姿を見た部員たちは、困惑しながらも遠くなるAの背中を見送っていた。
困惑の原因であるAはというと、すたすたと軽い足取りで家に向かっていた。
普段なら自主練をし、極限まで家に帰らなかったAだったが、真っ直ぐ帰宅。
家には弟が一人でいて、テレビに夢中であった。
それを確認するとすぐにシャワーを浴び、事を済ませたら出て、弟の隣に座る。
いざ喋ろうと心掛けたが、何も話すことがないと気付き、黙ってテレビを見ていた。
「ねーちゃん。おれも、サッカーやりたい」
やればいいじゃんとすぐに返すと、弟は背中を丸めながら反論する。
「やりたいっていってるんだけど、ぜんぜんやらしてくんない。ねーちゃんがやっててなんでおれがだめなの？」
「…さあ。でも、ねーちゃんも反対かな、サッカーは」
「なんで？」
「……後々、苦労するからね」
親がなぜやらせないのかわからないが、彼女が思っていることを端的に伝えた。
だが、納得しない弟。
このくらいの年齢は何でという返しばっかりで面倒だな、なんて思いながら頬を掻き、説明することに。
「もしサッカーをやったら、ねーちゃんと比べられるよ」
「なんで？」
「………一応、これからプロになるからね。学校でもあるでしょ？ ほら、あの子のほうが頭がいいとか、運動できるとか」
「うん」
「それだよ」
人はやたらと比べたがる。
面倒な社会だよなあと心で呟くと、弟はAの方へと顔を向け、こう言った。
「そっちのほうがなんか……やるきでる！ ねーちゃんをこえる！」
「……そう」
私は一応止めたからね、そう言って部屋に戻るA。
姉の行動が理解できない弟は頭にハテナを浮かべ、再びテレビに向き合う。
写っていた画面にはAがいて、華麗にボールを奪ってシュートを決めるシーンが。
「………かっこいい……」
この少年が、浅風の名前を再び轟かせるのはまだ先の話し。
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maya(プロフ) - 押し付けがましくない愛されが何ともキュンキュンします！更新待ってますので、応援してます (2021年7月3日 8時) (
レス) id: 8486f071d9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆりりん(プロフ) - 続きが読みたい!!(クソデカボイス) (2021年1月14日 18時) (レス) id: 9679665185 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずあめ＠おれんじ
| 作成日時：2020年9月27日 19時
