死の再確認 ページ18
さて、ついさっきまで散歩かな?と言いたくなるようなペースでしばらく歩いていたが、今はすっかり戦闘モードである。
俺は『見学』みたいな立ち位置で来ているためもちろんある程度距離を離される。
戦闘をするとは思えないほど優雅な立ち姿をしているが、その手に握られているのは生き物を切り裂くための凶器だ。
「勝てそう?」
「ははは。本気で言ってるのか?」
敵は三匹のヒルチャール。普通のヒルチャールが二匹に赤いヒルチャールが一匹、全員が棍棒を持っている。
見回り部隊だろうか?こちら…というより主にガイアを警戒している。
まあ、俺は素人以下なんでしゃあないけどね。本能的にわかったりすんのかね?
ガイアはゆっくりと、着実にヒルチャールとの距離を詰める。
ヒルチャールは何かを叫びガイアに襲い掛かった。しかしガイアにその攻撃は届かない。
距離があるため、ガイアの動きが良く見える。動体視力はあれなのではっきりと見えるわけではないが。
軽く棍棒をよけて、ガイアの姿がふっと一瞬だけ消える。いつの間にか赤いヒルチャールの後ろに移動しており、そのヒルチャールは背中から血を噴き出して倒れた。
おそらく…死んでいる、と思う。
この世界では、生き物…人間よりヒルチャールの死は身近にあるもので、慣れなければならないものとはわかっているが。
仲間の死にヒルチャール二匹は怒りをあらわにしてガイアに殴りかかった。
ガイアは何でもないような顔で、ヒルチャールの棍棒を持っている腕を切り落とし、胸を一突き。剣を抜くついでにヒルチャールを蹴り飛ばした。
巻き込まれたヒルチャールは仲間の亡骸の下敷きにされている。
「ぅ‶っ…ぐ、」
咄嗟に口を押さえた。
そうでもしなければ吐きそうだった。いや、確実に吐いていただろう。
ぐったりとして、もうピクリとも動かないヒルチャールが改めて『死』という事象を明瞭に感じさせたのだ。
残ったヒルチャールは亡骸の下から這い出て、こちらをまっすぐに見据えて向かってくる。
え、おい、ちょっと待てよ。ガイアは?
「『特訓』なら、実践もするべきだろう?」
びっくりしすぎて吐き気がすっ飛んだ。声が上から降ってきたのである。
ガイアはどこかと探せば、いつ登ったのかこちらを見下ろせる位置に腰かけている。
しかしすぐ近くに来ていたヒルチャールが棍棒を振りかぶっていて。
ヒルチャールは、もはや意味も込められていないだろう叫びをあげ、怒りに任せて棍棒を振り下ろした_____…。
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匿名 - とても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2022年6月12日 20時) (レス) @page18 id: e82571c646 (このIDを非表示/違反報告)
とも - 更新楽しみにしてます! (2021年2月14日 5時) (レス) id: b98c820ff7 (このIDを非表示/違反報告)
mizuame(プロフ) - musubeさん» おお…!嬉しいお言葉ありがとうございます!励みになります! (2021年1月3日 1時) (レス) id: 7109d6a483 (このIDを非表示/違反報告)
musube(プロフ) - ガイア先輩大好きなので嬉しい小説ですね…。めちゃめちゃ面白いですしすごい好みです。これからも制作応援してます! (2020年12月25日 20時) (レス) id: 7dc4077422 (このIDを非表示/違反報告)
mizuame(プロフ) - MAREさん» ありがとうございます〜!これからも頑張ります!朝早く起きれたときとかに更新してるのでめっちゃ不定期になると思います… (2020年12月13日 22時) (レス) id: 7109d6a483 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mizuame | 作成日時:2020年12月11日 5時