蒼い燈 Aoi_Hikari 19 (ページ15)

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side 岸優太

廉「は、嫌われるってなんやねん！！そんなんで嫌われへんわ！」

神宮寺「そんなにベタベタしても気持ち悪いから。笑」

廉「うっさい！」

相変わらず楽しそうに廉を弄る神宮寺

海人「…あのー、A君いないけど」

廉「…あれ？」

2人の言い合い…というか一方に神宮寺が楽しそうに煽ってただけなんだけど、その隙を狙ってAは帰ってしまったみたいで

廉「もおおお！ジンのせいで帰ったやんけ！」

神宮寺「え、俺？笑」

海人「ってか俺らはこの後まだ仕事あるんだからね？」

「廉」

漂う和やかな雰囲気の中で、敢えてリーダーとして強い口調で真剣な表情で廉の名前を呼べば一気に周りの空気もガラリと変わる

廉「…何」

「…お前がずっとAを待ってたのも、今も想ってるのも知ってるし気持ちは分かる

でも俺らは今年デビューしたばっかりで今は大事な時期で…」

廉「…分かってるよ、大丈夫」

岩橋も休業に入って、正直ここが勝負時

恋愛禁止とまでは言えないけど、アイドルとしてのそれなりの態度は見せないといけない

神宮寺「…全員のファンが味方って訳じゃない…それを一番分かってるのは廉のはずだよ」

この一言はかなり重かった

あの悲惨な事件を一瞬で皆の脳内に思い出させた

一部の過激なファンの歪んだ執着心が引き起こした事件

それによって自分の大切な人を自分の大切なファンが傷つけるという最悪の事態

それを経験したのは紛れもなく廉で

廉「…ありがとう

今の俺、周り見えてなかったな…忘れてなかったはずやったのに、あのこと…」

海人「恋は盲目って本当なんだねえ」

「出た、ポエム」

海人「まあさ、A君も今や事務所の社員さんでしょ？

会えるチャンスなんてまだあるし

焦ることないよ」

廉「…そう分かってるはずやのに…っ、また前みたいに急に目の前から居なくなりそうで怖くなる…っ」

あの事件のしこりは消えることなんてない

それほど残酷な事件だってこと