さよならと覚悟 9 ページ33
side 金村A
無事に千秋楽も幕を閉じた
この1ヶ月で全員が成長できた春松竹
18年組も相当頑張ったんやな、と思えたパフォーマンスやったし、他のメンバーもレベルアップを感じられた
Ｗアンコあたりから本気で泣きそうで堪えるのに必死やった
公演終わり、関西Jr達は恒例の楽屋の荷物片付けに追われる一方、私はまた東京に戻らないといけないから関西での残っている仕事を空き部屋で行っていた
そんな中、コンコン、とノックされる音が聞こえる
「はい…」
ドアが開けばそこに居たのは、
淳弥「お疲れ様」
「お疲れ様です…」
荷物を持って帰ろうとしている姿の淳弥君は恐らく最後の挨拶に来てくれたようで
淳弥「今日の演出、ありがとうな…めっちゃ嬉しかったよ」
「提案は丈君ですよ」
淳弥「それでも通してくれたのはAやろ？ほんまに感謝してるよ…」
「わざわざ湿っぽくするの辞めてください…もう泣かないって決めたんです」
涙が出ないように天井を向いて涙を乾かせる
淳弥「それ泣いてる時にするやつやん。笑」
「泣いてません…」
自力で涙を止めることに成功してもう一度淳弥くんに向き合う
淳弥「関西Jrのことよろしくな…アイツらほんまにええヤツらばっかりやし本気で頑張ってるから夢叶えて欲しいねん…」
「そうですね」
淳弥「俺もさ、丈とかがずっとひたむきに頑張る姿見て逃げるのはもうやめようって思ってさ」
「え？」
淳弥「もうアイドルは出来やんけど、俳優として頑張っていこうって…」
「内定…って？」
淳弥「あ、うん、実は事務所入ること決まってて」
「え、そうなんですか！」
淳弥「だから俺もまだこの世界で足掻いてみることにした」
「頑張ってください…」
淳弥「ありがとう…
あ、あともう1つ」
「なんですか？」
淳弥「Aは関西Jrに全力で向き合ってくれてる
皆の努力をちゃんと見てくれてそれをかってくれる
だから、アイツの気持ちもちゃんと受け止めてあげてな…」
「アイツって…？」
淳弥「…まあそのうち分かるんちゃう？知らんけど。笑」
関西人定番の『知らんけど』で見事にはぐらかしてそのまま部屋を去っていった淳弥君
もう会うことは無いかもしれない
でも、彼の夢が叶うことを私は願い続ける_____
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作者名：柚月
| 作成日時：2020年2月14日 22時
