蒼い燈 Aoi_Hikari 21 (ページ31)

今日:19 hit、昨日:2 hit、合計:98,617 hit

さよならと覚悟 7 ページ31

side 藤原丈一郎

A「ちょっと…」

「あ、うん…」

なにわのお仕事の報告も終わり、それぞれ楽屋に戻る中で俺の事を引き留めたA

その理由が分かってるからこそ、頷いてAと誰もいない空き部屋に入った

A「とりあえず、丈君から送られてきた案は進藤さんにも通して許可は頂いたのでやってくれて大丈夫です」

「あ、ほんまに？」

A「最後の淳弥君の舞台…最高の思い出を作って欲しいっていう気持ちは私も一緒ですよ」

「ありがとう…」

A「私も入所したての時はギャンスタさんと一緒に活動してましたから、思い入れは勿論ありますよ」

「懐かしいな、女やって知らされてそのまま隣で一緒に踊ってたもんなー」

A「あの時に皆さんが優しく踊りも関西Jrのことも教えてくれたから今の自分がいますから

淳弥君にも感謝の気持ちでいっぱいです…でも、もう私は舞台に立って淳弥君の背中を押すことは出来ないので演出という形で後押ししたいから…、」

「淳弥も喜ぶと思うよ…」

A「真鳥君が居ないのは残念ですけど…」

ただ今ダンス留学中のまと君

結局まと君は卒業ライブとして立つことは無く、そのまま事務所専属の振付師になることになっていた

funky8メンバー全員で舞台に立つことはもう一生無い

「…待って、ごめん…っ」

絶対泣かんと決めた

淳弥は俺が泣くことを絶対望んでない

俺が前をひたすらむく姿しか見たくないと思ってるはず

でもやっぱり思い出すのはfunky8での思い出

バックばっかりで目立つことが無かった俺らに差し込んだ光やった

しんどかったダンスの練習も屋良くんの指導も、本当に厳しくて身体的な負荷も凄かったのにそれ以上に楽しすぎて

この8人が居たから今の俺がいるといっても過言ではない

緩む涙腺が止まらなかった

A「…いいですよ、今は私しかいませんから」

弱い姿はもう皆に出せない

グループ最年長として胸を張って引っ張っていかないといけない

そんな使命感からこんなに感情が顕になることが無かった

でもAの前やと本性が顔を出す

Aの背中に頭を預け、泣き顔を隠すようにひたすら泣いた

Aはずっと俺が泣き止むまで何も言わずそばに居てくれた