事件の前兆 3 ページ3
side 藤原丈一郎
「あれ、A…」
開演前には来てたAやけど、来てもすぐに大忙しで話すタイミングなんてあるはずも無く
終演直後なら狙い時かと素早く舞台袖に戻るも、姿は無かった
大吾「残念。ちなみに俺さっき話したー」
「いつの間に」
大吾「丁度来たところに廊下で。相変わらず忙しそうやったけど、大阪は明後日までおるし明日の少年たちも見て俺らと一緒に東京向かうって言ってたからここにおるはずやで？」
Aが大阪に用があるなんて関西Jrしか有り得ないから大阪にいるならここにいるはず
ましてや、公演中に抜けるなんてよっぽどな限りないし
皆ぞろぞろ楽屋に戻る中、人気の少ない方の廊下に歩を進めれば、徐々に聞こえるのはAの声
A「…え…？
ま、待ってください…！話が違いすぎます！！そんなことして他のメンバーの気持ちは？！考え直してください！！社長…？社長！！」
あんなに真剣に叫ぶような口調で訴えかけているAの表情を見るのは初めてかもっていうぐらい
必死な口調のAは、相手側…恐らく滝沢君に無理矢理電話を切られたようで今にも泣きそうな顔でよろけるように壁にもたれかかってしゃがみこんだ
「A…？」
恐る恐る声をかければ、はっとした顔で視線が合う
A「…す、すみません…声でかかったですよね…っ、」
そう言いながら止まらない涙を乱雑に服の袖で拭うAは現役時代と変わらない泣き虫で
「…滝沢君となんかあった？」
A「…私、今から東京戻ります」
「…え？」
A「どうしても、社長に会わないといけないので…」
「でも、今無理矢理電話切られた感じやったで…？」
A「それでも…このまま何もしないわけにはいかないので…、ご心配お掛けしてごめんなさい…」
そう言って立ち去ろうとするAを気付けばぎゅっと抱き締めていた
A「…丈、君？」
「そんな泣いたりするほど辛いのに…東京ほんまに行くん…？そんな悲しい表情をAにこれ以上させたくない…東京なんか行かんでいい…Aの好きな大阪にずっとおればいい…」
わがままやと分かってる
俺たちのためにもAは東京で頑張ってるんやって
それでも愛しい女にこんな顔をこれ以上させたくなかった
泣きながら訴えるほど辛いことを1人で追わせることなんかしてほしくない
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仁海(プロフ) - 久しぶりの更新楽しみにしてました！早く続きが楽しみです。 (2022年8月1日 18時) (
レス) id: d86cd8bbb0 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ - やっとこのお話の世界線で丈くんがみんなと同じ土俵に立って、恋をできそうですね。 (2021年7月28日 23時) (レス) id: 26e7d360ec (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - 今まで占ツクで読んできた中で一番大好きなお話です！既に3回ほど読み返してます笑これからも更新待ってます！ (2020年8月30日 0時) (レス) id: 20091d926e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚月
| 作成日時：2020年7月30日 22時
