雨は必ず止むはずなんだ。 (ページ3)

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S t o r y 2 ページ3

Aさいど

私の家は昔からお金持ちだ。
お父さんは代々続く有名和菓子店の社長で、
小さい頃からとにかく厳しくしつけられ育てられてきた。
高校生になり製菓専修学校の和菓子本科に入学した私、
けど元々手先は器用じゃなく、和菓子作りのセンスもない。
私にあるのは家の名前という重荷だけだった。
試験の度に先生たちは私の作品を見て、
「これが本当にあの川上さんの子供さんなのか」とひそひそ話す
そんな生活にこりごりしていたときだった、
学校から家に帰るとお付きの人にお父さんの所へ行くようにと言われ
部屋に入ると、

父 : お前、また単位を落としたそうだな

A: はい。

父：小さい頃から散々教えてきただろう和菓子の作り方は。

A:申し訳ありません。

父 : まだ未熟な奴らの中でお前が一番出来ないなんて我が家の恥だ。

A: 次こそは必ず成功させますので。

父 : 今日学校に退学届を受理してもらった。意味は分かるな？？

そう言ったお父さんに返事をして部屋に戻ると私はすぐに荷造りをした。
荷造りって言っても携帯と財布を持っただけだけど。
もう二度と帰ってこれないこの部屋と家に別れを告げて家を出て公園に向かった。
誰もいない夜の公園、一人でベンチに座っていると激しい雨が降ってきた、
最初は動こうと思ったけれどこのまま低体温症にでもなって死ねたらいいのに
という考えになりそのままボーっとしていると
さっきまで静かだった公園が騒がしくなった
うるさいなと思いそっちを見ると男の人の集団が雨宿りをしていた。
その中の一人の男の人と目があった気がして慌てて前を向くと
後ろから声をかけられた。

「＿あの？？」そう言われたけど最初は怖くて無視をした。
けど今度は前に来て「あの、大丈夫ですか？？」と声をかけてきた
なんとなくどこかで聞いたことのある声に違和感を覚えながらも顔を上げた

シルク : 大丈夫ですか？こんなとこいたら風邪引いちゃいますよ？？

そう声をかけてきた相手を見て私はびっくりした。
目の前にいたのはFischer'sのシルクロードさんだった。
まさかの遭遇に驚きながらも

A : あなたも風邪ひきますよ？

と返し、「お友達もいるみたいだし屋根のあるところ行ってください。」
とシルクさんを追い返そうとした、
その時だった、シルクさんは私の手を掴み後ろに向かって走り出した。