検索窓
今日:12 hit、昨日:33 hit、合計:76,009 hit

▽──4番目「対面」 ページ7

『…目は覚めた?』


真っ白なベッドの上で目が覚めた。
体を起こすと、ベッドに髪の長い女の子が腰掛けていた。

その髪は、下に行くにつれて赤くなっている。

初めて声を聞いたのが、この時だった。


『初めまして。おはよう、可愛い弟。』

4「あんた、だれ?」


首を傾げて問いかけると、くすくすと上品に笑った。


『さぁて。私は誰でしょう?』


こいつはボクを見て“弟”と言った。
なら、姉と予想するしかない。


4「…ボクのお姉ちゃん?」

『んー…まぁ、模範解答かな。正解』


おいで。そう言言いながら、少し体をこちらに向けて、僕を優しく抱き寄せた。


『……奇形かぁ。単眼症だね』


……きけい?たんがんしょう?何を言っているのだろう。


4「…?」


ふと違和感を感じて、彼女を見つめる。

すると、彼女の透き通った赤い瞳に、大きな1つ目の“ボク”が映りこんだ。


4「っ!?やっ…!」


ビックリして彼女の腕の中で縮こまると、ボクを包むように抱きしめた。


『大丈夫だよ。ビックリしちゃったね』

4「ぅー………」


どうして。彼女の目は二つあるのに。
どうしてボクは一つなの。

この時点で、ボクは他の奴らとは違うということがわかった。解らされてしまった。


『姿形が違くても、私達はあなたを仲間外れにしないよ』


…わたしたち?彼女の他に、誰かいるのだろうか。

彼女はこう言っているが、実際はどう思っているかも分からない。

他の奴らだって、本当はボクを仲間外れにして、虐めてくるかもしれない。

考えているうちにだんだんと恐くなって、彼女にすり寄った。


『…混乱させちゃったね、ごめん』


抱き上げていたボクを、再びベッドに寝かせた。
彼女はベッドから降りると、ボクの頭元で膝立ちになった。


『……ちょっと休憩しようね。目ぇ瞑って、深呼吸しよっか』


すってー……はいてー……
彼女の指示に、大人しく従った。

…少し楽になった気がする。


『私、他の子達に貴方のことを話してくるね』

4「……うん……すぐ戻ってくる?」

『戻ってきてほしい?』

4「…うん」


信用したわけではないが、今は表面上だけでも良くしてくれる彼女に頼ることしか出来ないのだ。

頷くと、彼女はそっと微笑んだ。


『わかった』


ボクの頭をそっと撫でて、部屋を出ていった。

横になりながらその背中を見届けて、頭に残る彼女が触れた暖かい余韻に浸りながら眠った。


これは、ここに来た時の、ボクの記憶。
変な記憶でしょ?

6番目 〈末っ子の特権?〉→←▽──4番目「辛辣」|メタネタ注意



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (73 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
82人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 奏唄(仮)さん» あら〜ありがとうございます〜♡大昔のなのであれもこれも直したい所が山々なんですが、どうにも手がつけられずで…‪( ´•౪•`)‬平和の中に垣間見える闇、いいですよね〜…… (2022年1月19日 7時) (レス) id: c9fda36adc (このIDを非表示/違反報告)
奏唄(仮) - 神作品ですねこれは面白いし急に最後らへんにホラーを入れてくるとことかホラー感を出す時の凄さとかが…もうやばい (2022年1月18日 19時) (レス) @page12 id: 9f4520d760 (このIDを非表示/違反報告)
黒椿鬼(プロフ) - 飴璃さん» あれ...あれっほんとすみません包丁になったんですねすみません描き直しますありがとうございます (2020年12月30日 21時) (レス) id: 6c1e5cc655 (このIDを非表示/違反報告)
飴璃(プロフ) - 黒椿鬼さん» オ"ア"………めためた可愛いです……ありがとうございます!! (2020年12月30日 21時) (レス) id: c9fda36adc (このIDを非表示/違反報告)
黒椿鬼(プロフ) - いつの間にかれいちゃん見た目変わってたので描き直しました(今回は画像切り貼りとトレスですが)https://d.kuku.lu/daba4f8194 (2020年12月29日 13時) (レス) id: 6c1e5cc655 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飴璃 x他1人 | 作成日時:2019年1月4日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。