暗闇の世界で愛を誓う

1番目&5番目　〈かまって。〉 ページ20

1「あっは！姉貴〜」ｽﾘｽﾘ

　『よしよし』ｷﾞｭｰ

5「むー……」

いちゃつくならほかのとこでやってほしい。

5「姉貴〜…」ｸｲｸｲ

寂しさに耐えれなくて、姉貴の服の裾を、軽くつまんで引っ張った。

　『ん？どうした〜？』ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

5「んぅ……」ｽﾘｽﾘ

1「あっ……むぅ…」ﾌﾟｲｯ

1番目の兄貴は短く声を出して姉貴に手を伸ばしかけたが、
すぐにおろしてそっぽ向いた。

姉貴は1番目の兄貴を撫でるのをやめて、代わりにおれの頭を撫でてきた。
姉貴の手は柔らかくて、暖かい。指が細くて、俺よりも少し大きな手。

姉貴は左の手で1番目の兄貴を抱きかかえて、
兄貴を膝の上に乗っけて向い合わせの状態。

そして右の手はもちろん俺の頭の上にある。

兄貴を膝の上に乗っけてるからか、足は伸ばしてある。

兄貴は女の子座り…というよりかは、足を両側で折り畳む座りかた。
姉貴の足をまたいで、下に両手をついて支えてる。

5「姉貴…俺もぎゅってされたい。寒い…」ｳﾙｯ

1「…ふん、よく言うぜ……」ﾎﾞｿｯ

　『ん、わかった！よい、しょっと…』ｷﾞｭｯ

1番目の兄貴は、自分と姉の時間を邪魔されたのが気に入らなかったのか、
拗ねたような声で小さくそういった。

…聞こえてるぞ。

俺が少し目を潤ませてそう言うと、姉貴はすぐに反応してくれた。
…自分でも少しあざといと思う。

1「姉貴〜…」ﾋﾟﾄｯ

1番目の兄貴は分かりやすいくらいにあざとくそう言って、
姉貴の体に自分の小さな体をくっつけた。

てかあれ絶対股当たってるだろ。
…いや、当ててんのか。

この世界で下着なんてもんはねぇからな。

1「もう撫でてくんないの？」

女みてぇに誘うような甘い声を出しながら、
上目遣いで姉貴の後ろに首から腕を回す。

…止めないとやべぇかなこれ。
いや、別にあとでいいか。

　『うーん…どーしたらいいのかな〜…』

1「はっ……」ﾆﾔｯ

姉貴が悩んでるにも関わらず、1番目の兄貴は少し顔を俯かせて
こっちを見下すように嘲笑ってきた。

見下すというより見上げるだけど。ちっせぇし。
兄貴、俺んときよりもずっとあんたの方がひでぇからな？

俺があざとくしたやつなんてまだかわいいもんだ。

　『ふーむ…』

こっちはこっちでまだ悩んでるし。
こんな状況になっても俺の頭を撫でる手は止まらない。


ある意味すげぇな。

END 〈俺らなりの甘え方。〉

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