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黒 side
本当は嬉しかったんだ。皆が煌びやかな街を置いて俺の元まで来てくれた事が。
でもふと布団の隙間から見えた5人は、病室には似合わないお洒落な姿だった。
綺麗なセーターに高そうなコート。温かそうなマフラーを身に纏って、髪の毛だってセットしてある。
乱れた入院着を着ていて、治療の影響で髪の毛が抜け落ちている俺とは対極に居た。
そのギャップが怖くて堪らなかったんだ。
一気に5人が遠くの存在に感じられて、また�猊蕕韻覘畛�への恐怖が増大した。
赤「……ほくちゃん、熱いよ。無理しちゃだめだ。」
ジェシーに軽々と抱えられて、ベッドに戻された。これじゃまるで赤子だ。
赤「泣かないで、辛くなるよ。」
ジェシーが頬を一撫でしてから、俺に袋を差し出した。寝転がったままリボンを解くと中から出てきたのは雪の結晶の模様のニット帽だった。
緑「皆で選んできたんだよ。」
帽子をぽかんと見つめる俺にジェシーがそのまま被せてくれた。少し体を起こして5人を見る。
こーちが似合ってんじゃんって笑って、樹もそーだなって。ジェシーは頭を撫でてくれて、慎太郎は帽子を被った俺の顔を覗き込む。京本は何故か涙ぐんでいた。
多分さっきの八つ当たりで傷つけてしまった。
緑「ほくと。99回負けたって、最後1回勝てたらいいんだよ。逃げても病気は多分北斗を追ってくる。それなら北斗が戦うために支えさせてほしい。」
怖かったんだ。本気なんて出して負けたら、それこそもう立ち直れないんじゃないかって。
でも逃げても逃げた先には5人がいた。崩れ落ちた俺を支えてくれた。
勇気をくれたみんなのために、こんな所で負けていられない。
被せられたニット帽に触れる。柔らかな手触り。その帽子を被せられた瞬間から、力が漲ってくるような心地がしていた。
入院着に整わない髪の毛の俺を闘いに連れ出してくれたのは、紛れもなくこのニット帽だ。
黒「……戦い続けるよ、その1回勝つために。」
俺の一言で、皆の顔に笑顔が戻る。掻き消したはずのクリスマスソングをありありと受け入れる自分に変わっていた。
fin
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SEKAI NO OWARI 「Fight Music 」
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ばにら(プロフ) - 朔さん» 朔さん、ご愛読ありがとうございます。そして、毎日お勉強お疲れ様です(^^) 朔さんの心の拠り所を作ることのできるようにこれからも頑張ります…！嬉しいメッセージありがとうございました✨ (2021年12月4日 16時) (
レス) id: 3fbbdbace9 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 受験生なので勉強の休憩に読まさせて頂いてますが本当に全部素敵で、とても綺麗です。これからも無理のない程度に投稿頑張ってください* (2021年12月4日 11時) (レス) @page4 id: 11e35a6fc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばにら | 作成日時：2021年12月3日 0時
