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黒 side
樹は自閉症で、知的障害もある。けれどとても人懐っこい性格だった。
先生が言うにはADHDの要素も併せ持っているのではないか…と。
人とのスキンシップが大好きで、感覚過敏はあまりないみたい。だから樹は体と体が触れ合う事を好んだ。
『ねぇ、…ねぇ』
「樹！！」
『……？』
見知らぬ人に話しかけにいくのもそう珍しく話ではない。今回も例に漏れず、若い男性に声をかけていた。
『ねぇ』の先に続きはない。こうしたら人が振り返ってくれる事を知ってしまったからこればっかり使う。
「すみません。申し訳ありません。…樹、ダメだって。」
声をかけられた男性は怪訝そうな顔をして立ち去った。俺は、自分が謝るのが嫌なのではなく樹の純粋な好奇心と愛が、苦笑いで受け止められる所を見るのがとてつもなく辛かった。
『……あー、』
今だってほら。自分が距離を取られたことに本人は気がついてない。
それどころか背を向けて足速に去っていく彼に小さく手を振っていた。
『ばいばーい』
見ていられなくなった俺はぎこちなく動く手を無理矢理掴んで、スーパーの外に連れ出した。
「……樹！！ダメだよ知らない人に声をかけたら！！普通は、会ったばかりの人に話しかけたり突然抱きついたりしないの！！」
『なかよし、しない？』
「しない。」
『ぎゅー、？ぎゅー、しない？』
「……しない！！」
『…んー、』
俺が強く声を張り上げると、樹は目に涙を溜めながらこちらを見上げた。
『……なかなかった、えらい……なかなかった、……』
「……ごめん、少し強く言い過ぎた。」
樹の頭の中の記憶が今、ぐちゃぐちゃになってしまった。時系列が入り乱れて、パニックになったのか耳を塞いで前後に体を揺らす。
俺の手を求めるでもなく、ただ横について歩いてくる姿に罪悪感を覚えた。
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ばにら(プロフ) - 朔さん» 朔さん、ご愛読ありがとうございます。そして、毎日お勉強お疲れ様です(^^) 朔さんの心の拠り所を作ることのできるようにこれからも頑張ります…！嬉しいメッセージありがとうございました✨ (2021年12月4日 16時) (
レス) id: 3fbbdbace9 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 受験生なので勉強の休憩に読まさせて頂いてますが本当に全部素敵で、とても綺麗です。これからも無理のない程度に投稿頑張ってください* (2021年12月4日 11時) (レス) @page4 id: 11e35a6fc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばにら | 作成日時：2021年12月3日 0時
