◎ にこいち！ ［青］ ページ16
黒青 20歳の双子
黒 side
大学で5限までの授業を終えると、日はすっかり落ちていて俺の隣を通り抜けた風は頬を切り裂かれるのではないかと思うほど冷たかった。
思ったより、教授の話が長引いた。急がなければ。
ポケットに忍ばせていたカイロで暖をとりながら、少し小走りになる。早くしなきゃ双子の兄が怒っちゃうからな。
…あー、樹泣いたりしてねぇかな。
『ほくとーっ』
兄が通う作業所に着くと入り口のところでサポート職員さんと樹が2人並んでいた。
「すいません寒いのに…樹がまた引っ張り出したんですよね…」
〈いいえ、樹くんはやく北斗くんに会いたいんだもんね。〉
『ほくとおそかった！』
「ごめんって。…んじゃありがとうございました。」
一緒に待っててくれた職員さんに会釈すると、もう樹に手をぐいぐい引かれた。
「今日は上手くできたの？泣かなかった？」
『…なかなかった？なかな…な、』
「顔見してみ。……うん、泣いてないね。」
やっと彼も作業所に慣れてきたのだろうか。初めのうちは毎日泣いて帰って、ほっぺに泣き跡べったりだったのに。
『なかなかった』
「うん、えらい。」
『なかなかった！えらい！』
カイロであっためといた手を繋いでやると、樹は嬉しそうに笑った。
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樹が何回も確かめるように俺の手を握ってくるもんだから、そう思ってるってことにしておく。
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ばにら(プロフ) - 朔さん» 朔さん、ご愛読ありがとうございます。そして、毎日お勉強お疲れ様です(^^) 朔さんの心の拠り所を作ることのできるようにこれからも頑張ります…！嬉しいメッセージありがとうございました✨ (2021年12月4日 16時) (
レス) id: 3fbbdbace9 (このIDを非表示/違反報告)
朔(プロフ) - 受験生なので勉強の休憩に読まさせて頂いてますが本当に全部素敵で、とても綺麗です。これからも無理のない程度に投稿頑張ってください* (2021年12月4日 11時) (レス) @page4 id: 11e35a6fc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ばにら | 作成日時：2021年12月3日 0時
