微睡み 2 (ページ46)

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緑 side

……ジェシーの言う通りだ。

割り切る、なんて綺麗に自分の中で区切りをつけたつもりで何もかも挑戦する前に諦めた。

昨日ジェシーに言い返してしまったのも、全部全部図星だったから。意味のわからぬ線引きをしたのは誰でもない、自分自身だった。

『……ごぇん、なさぃ……ごめっ、……』

自分の愚かな間違いに気がついた途端に襲ってきたのは、大きな後悔。ジェシーを言葉の刃で傷つけて、思いやりを踏み躙った。もう、戻れないかもしれない。

ジェシーは人から愛される人だ。俺じゃなくても周りには沢山の友達がいる。

『……どぉしよぉっ、…じぇし、ゆぅしてもぁえながったら、(どうしよう、ジェシーに許して貰えなかったら)』

黒「……慎太郎はジェシーと仲直りしたい？」

『…んっ、うん、…もぅ、ゆぅしてもぁえないかもしぇないけぉ、…あやまぃ、だぃ、(うん、もう許してもらえないかもしれないけど、謝りたい)』

黒「………だ、そうですけど。ジェシーさん。」

『……じぇしぃ、？』

北斗が後ろを振り返ると、ドアの向こうからひょっこり顔を出したのは居ないはずのジェシーだった。

『…さっぎ、…がえったって(さっき、帰ったって)』

黒「ごめん、嘘ついたわ。…ほんとはジェシーなんだよね。お見舞い行こうって言い出したの。

それなのに、慎太郎目にした途端不安がってかくれてさぁ。」

赤「……初めからちゃんと慎太郎が不安に思ってること、聞けばよかったよね。…慎太郎のお母さんから聞いた。……今までずっと、こういう行事を我慢してきたって。」

『……ううん、じぇしぃはわぅくないよ、おでが、ひねくぇて、ただけ(ううん、ジェシーは悪くないよ、俺が捻くれてただけ)』

赤「……俺やっぱり慎太郎と北斗と組んで、一緒に行きたいんだ。」

ジェシーはリクライニングベッドに体を預ける俺の目線に合わせて屈んだ。同じ位置から伸びた目線が、俺のものと交差する。

『……あぃがど、じぇしぃ、ぉくど。…おで、いぎだい、ふたぃと、(ありがとう、ジェシー、北斗。俺、行きたい2人と。)』

赤「………慎太郎。」

黒「うん、行こうな。」

2人の思いやりの詰まった手が、俺の体に触れて温度が掛け合わされる。やはり、あの時感じた柔らかなぬくもりは2人のものだったらしい。

体のだるさも、呼吸の苦しさもどこかに吹き飛ばしてしまうような力がジェシーと北斗の手にはあった。

fin

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