微睡み 2 (ページ38)

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◎ シグナル　［黒］ページ38

緑 side

「お兄ちゃん、おはよう。よーく眠れた？」

「うんうん、そっかそっか。今日はいいお天気だよ。ご飯食べたら少しだけおひさま見てみる？」

カーテンを開けると、真っ直ぐに日差しが部屋の中まで届く。

朝の少し涼しい空気にどこかの家の朝食の匂いが運ばれてくる。

朝は沢山やることがある。

まずはお兄ちゃんの顔色を確認して、深夜の間のヘルパーさんが残してくれたメモ書きに目を通す。

そしたら、お兄ちゃんの流動食作り。

口からでなく、胃ろうから栄養を摂るお兄ちゃんだけど食事は見た目も大切でしょ？

だから、なるべくお野菜も入れて綺麗に作るよ。

「よし、お兄ちゃんいただきます。」

礼儀に厳しくて、特に挨拶は欠かさなかったお兄ちゃん。

だから、俺の手とお兄ちゃんの手を合わせていただきます、をする。

食事を終えたらゆっくりタイムだけど、その前にもうひとつ。

お兄ちゃんの胸元に耳を近づけて、苦しい音がしないか確認。

「ごめんね、前少しひんやりするかも。……よーし完璧！また後でで大丈夫だね。」

決してどれも楽な作業ではない。

ひとつの些細な間違いが命に繋がることだってある。

でも、楽して幸せで居られるとも思っていない。だから、大変でも俺はお兄ちゃんに付き添う道を選んだ。

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