微睡み 2 (ページ30)

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◎ 過信、帰心、化身　［黒／緑］ページ30

※死ネタ表現ございます。閲覧の際はご注意ください。

黄 side

緑「ん゛〜っ、いつものとこぉ〜っ、」

黄「仕方ないよしんちゃん、ほらお外見えるよ。向こう行ってみよ？」

〝仕方ない〟

そんな一言で片付く訳ないと分かってて、また口にしてしまった自分に嫌気が差す。

黄「しんちゃーん、かなしかったね。……うん、そうだよね。」

ついに電車のど真ん中で座り込んで、わぁーっと癇癪を起こす息子の慎太郎。

電車に乗るときにいつも座る3両目の端っこの席。慎太郎のお気に入り。

普段養育所に向かうときは平日でガラガラだから必ず座れるんだけど、今日は祝日のお昼前。

席が空いているはずもなく、記憶の中と違う電車内の光景にパニックを起こしたみたいだった。

自閉症の慎太郎は物事への拘りが人並み以上。
一つズレると歯車をまた合わせるのは親の俺でも難しい。

緑「しんちゃんの、！しんちゃんのばしょ！」

黄「ごめんねしんちゃん、ごめんね。」

電車で思いのままに声を上げる慎太郎。

……周りの視線が痛い。

黄「すみません、……すみません、」

今回ばかりはイレギュラーを予測しなかった俺の落ち度だ。

慎太郎には可哀想だけど、次の駅で降りよう。だからそれまでなんとか慎太郎の背中をさするんだ。

俺のせいで慎太郎が悪く思われちゃうや。ダメな父親だなぁ、ほんと。

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