微睡み 2 (ページ23)

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あなた side

結局、体温計もお水も私の体に巻きついて離れないほっくんと一緒に一歩ずつ歩きながら取りに行った。

何度も呼吸が辛そうになって立ち止まってしまったけど、意地でも私の首から腕を離そうとはしなかった。

そしてまた寝室に時間をかけて戻ってきて、お薬を飲ませる。

ベッドに寝転んだあとも私にひっつくのをやめる気はないらしい。

今度は私の背中にぴたりとくっついている。

「…ちょっとほっくん、くすぐったいよ…」

「そろそろねなさーい。」

お薬も飲んだし、体も限界だろうから少し寝て欲しいんだけど私の背中を指でつんつん。

最初は何の気なしに甘えているのだと思っていた。

けれども、彼の人差し指から伝わる感覚が私の心をざわつかせる。

「ほくとくん、いま……。

〝すき〟

って言ったの？」

びっくりして振り返ると、ほっくんは顔を今以上にまっかっかにして頷いた。

ほっくんは今、お仕事で点字の絵本の制作に携わっている。

絵は見ることができないほっくんだけど、文章を書くことが好きなのを活かせるぴったりなお仕事。

タイプライターを使う人が多い中、ほっくんのこだわりは点字器と点筆でひとつづつ点を突いていくこと。

人の手で〝書いた〟感触は暖かいらしい。

そっか、ほっくんが言ったのはこういう事だったんだ。

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