微睡み 2 (ページ16)

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◎ sunrise ［黒］ページ16

黒 side

夜も深まった夜中の1:00。シャーペンを滑らせる手が進まない。

目線の先に、先日渡された前期の通知表を捉えてついにシャーペンを取り落とした。

俺は、中学2年生のときから行きたい高校に入るために必死に勉強してきた。

テストでは常に5本の指には入っていたし、授業だって真面目に聞いた。

それなのに、印字された出席日数だけが出願の邪魔をした。

基準に満たなかったその数字。先日体調を崩して入院してした分がなければ上回っていたはずだったのに。

俺は幼い時から心臓が悪いせいで入退院を繰り返し、体に入ったメスの跡は数知れず。

大人の体になるにつれて俺の成長についてこられない心臓が悲鳴をあげている故に最近はコントロールがうまく行かなかった。

物心がついたときにはもう両親は他界していて、9つ離れた兄の大我と2人暮らしをしている。

医療費も学費も生活費も全て兄の1人だけの稼ぎに頼っている今、俺が出来ることは近場の公立高校に合格することだったのに。

こんな体じゃなかったら、行けるはずだった。
悔しくて、悔しくて堪らない。

「……北斗？まだ起きてるのか？ダメだよそんな薄着で。まだ病み上がりなんだから。」

掛け持ちの仕事から帰宅した兄が血相を変えて近づいてくる。

兄の過保護すぎる一面は俺を〝病気〟に縛りつける。

『…兄貴には関係ないだろ、』

「あんまり体に良くないから。最近寒いし…ね？じゃあせめてブランケット…っ」

『……いいって、』

「俺は北斗の体を心配して…」

俺は挑戦することさえできない、兄に迷惑をかけてばかりの病気の弟。

受験もお節介な兄も今の俺には抱えきれない大きなものすぎた。

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