微睡み 2 (ページ15)

今日:61 hit、昨日:60 hit、合計:239,340 hit

・ページ15

赤 side

中に入ると、北斗がここに来たがった理由は一目瞭然。

色とりどりで目立つポップに北斗は惹かれたんだ。いつの日か、何気なく連れてきた時のことを覚えていたんだね。

今朝チラシを見て思い出したのかもしれないな。

確かに普段、スーパーのチラシが大好きな北斗にとったら、店内の至る所にあるポップはどんなアミューズメントパークに行くより心惹かれるものだと思う。

装飾された文字や黄色や赤など原色ではっきりしたものを好むのは昔から変わらないね。

時たま北斗と同じ目線になりながら、店内をゆっくり回っていく。

いつもなら、ただ必要なものだけを揃えるためにくる場所も北斗とだったら楽しくなっちゃうなぁ。

「ん？北斗はこれが好き？いいねぇ〜！」

『…ほくと、これすき、』

お気に入りのポップ探しに没頭する北斗の横顔はキラキラしていて、今度から絵カードはこんな感じに目立つ色で作ってみようかな、なんてアイデアも得た。

ちゃっかり買い物まで済ませれば、もうすっかりお昼の時間になっていた。

「北斗、たのしかった？」

『ふふっ、……あはははっ！』

帰り道歩きながら尋ねれば、だいすきな店内を思い出したのかお腹を抱えて笑いだす北斗。

「AHAHA！よかったよ。また来ようね！」

『くくくっ、ひひっ……ふふーん、』

上機嫌な北斗との休日。

身近な場所を初めて特別な視点から見ることができた記念日になった。

fin

・