Want to live. Ⅴ (ページ34)

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大貴side

嫌でも分かってしまう。

俺より涼介の方が可愛くて育てがいがあるって。

可愛くてしょうがないし、てんかん、という治りにくい障害を持つから目を離せないってことも。

大貴「……俺は血が繋がってるのに。」

父さんは昔から自由な人だった。

親友が亡くなったからお通夜に行ってくる、そう言って家を出ていったかと思えば小さな子供を連れて帰ってきた。

それが涼介。

亡くなった親友の1人息子を引き取ってきたのだ。

小さかった俺は突然に増えた1人の家族に困惑してしまった。

そしてそれからは障害がわかった涼介に父さんは付きっきり。甘えたい盛りの時に見知らぬ子供に親を奪われたのだ。

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救急車で運ばれてから涼介は2日間入院をして今日、家に帰ってきた。

慧「ただいまー！」

涼介「おにいちゃん！ただいま！」

大貴「ご飯出来てるけど。」

慧「あー…外で食べてきちゃった。ごめんラップして置いといてくれる？」

涼介が退院の日は父さんが忙しくなるだろうと気を利かせて作っておいた料理も用無し。

大貴「……あっそ。」

涼介「お兄ちゃん！パパに新しいゲーム買ってもらったの！一緒に遊ぼう？」

涼介の手には新作のゲーム。

俺はゲームなんて買ってもらったことないのに。

大貴「誰がやるかよ。そんなつまんねーの。」

涼介「お兄ちゃん……、」

そんな彼の言葉をかき消したくて、わざと力強くドアを閉めた。

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