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侑李side
「……っ、ぼく………」
目を覚ますと見慣れない天井。
伊野尾「あれ、目覚めた？意外と早かったね。」
僕の背中を冷や汗が伝った。怖い。
大ちゃんはいなくなってしまっていた。
大人の男の人を前にすると無意識に体が強張ってしまう。
早く大ちゃんのところへ行きたい。
その一心で体をガバッと起こすと大きく視界が揺れる。
ぐるぐると回って気持ちが悪い。
伊野尾「だめだよ無理に動いたら、もう一度横になって。」
侑李「……ゃ……っ、！」
無意識に手を振り払った反動でこみ上げる気持ち悪さ。
侑李「…….ぅぇっ……ぅっ……おぇっ、」
伊野尾「…おっと、大丈夫だよ？一回気持ち悪いの出しちゃおっか。」
先生に背中をさすられるたびに寒気がして手足が震える。
侑李「……やめっ………ぅっ……うぇっ、」
「ぅ、っ……はぁっ…….はっ……ひっ、」
伊野尾「しっかり息吐いて？過呼吸になっちゃう。」
やだ。来ないで。大ちゃん、いつもみたいに守ってよ。
侑李「はぁっ、……だぁ、……い…」
口から止まらない嘔吐物と整わない呼吸でもう何がなんだか分からず視界が霞んでいく。
もうダメだって思ってた時だった。
大貴「……やっと呼んでくれた。」
いなかったはずの大ちゃんが僕の体を包んでくれた。
大貴「感情出すのおせーよ、バカ。」
「もう大丈夫だからな。」
大ちゃんがゆっくり背中をさすってくれればさっきのが嘘みたいに呼吸が整う。
そこで僕やっと分かったんだ。
感情を出せない僕が唯一、心で求めてしまうのは大ちゃんなんだ。
いつも�爐匹辰舛�いい？�瓩辰討いμ笋い�けに対してどっちでもいいって思ってたのは、大ちゃんに好きな方選んで欲しかったから。
侑李「大ちゃん。」
大貴「心配すんな。ずっと一緒だ。」
名前をよんでぎゅってする腕のチカラを強めれば、全部見透かしたみたいにふわって笑う大ちゃんは。
そんな、大ちゃんは魔法使いみたいだ。
・
「心の糸」／end
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こちらゆちゃあさんからのリクエストでした！
ありがとうございました！
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年5月1日 16時
