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大貴side
大貴「次体育だから着替えよっか。」
侑李は何をするのかだけ教えてやれば最近は出来ることも増えてきた。
制服を脱ぎ捨てて体育着に着替える侑李。
侑李の体にはいくつもの傷跡がある。
それは全部侑李が無意識でつけてしまったもの。あの事件の後から、自分で自分を傷つけるようになってしまった。
自分で腕を噛んだり、過剰に擦ったりとその時によって方法は違う。
だから夏でも長袖のジャージを身につけて体育をする。
侑李は体を動かすことは好きみたいで、体育の時は少しばかり目に光が宿る。
大貴「はい、パス」
バスケの試合が行われている体育館の隅っこで俺たちは穏やかにボールを交わす。
他の子と関わることが苦手な侑李ができる範囲の授業参加をしている。
侑李「…ぱす。」
大貴「ははっ、侑李上手い！！」
俺が目を離したのはほんの一瞬だったはず。
それなのに次顔をあげたときには侑李は体育館の床に倒れ込んでいた。
大貴「……侑李っ！！」
「悪い…….！大丈夫か？」
どうやら試合でカットされたボールが侑李の顔に飛んできてぶつかったらしい。
侑李がむくりと起き上がると、だばーっと鼻血が流れる。
大貴「うわっ……やべぇ」
凄く痛そうなのに侑李は顔色1つ変えず、体育館の床に滴っていく自分の血を眺めているだけだった。
大貴「わざとじゃないし、ボールが飛んでくる範囲でやってた俺たちも悪かった。大丈夫だよ。」
謝ってくれた男子にそう返して、侑李の顔にタオルを当てて腰を支えて立たせた。
大貴「侑李歩けるか？」
こくりと相槌が打たれたことだけ確認して保健室へと向かった。
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年5月1日 16時
