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慧side
そろそろみんなの朝食が終わりそうな頃かな、というくらいで涼介を俺の部屋まで運んだ。
他の子たちの声を今聴くのは少ししんどいだろうから。
涼介をベッドに寝かせてから、ほかの先生に伝達に行こうと部屋を出る。
「どうすんだよ俺ら自主研修行けなかったら！」
「えぇ、嫌だよ」
「女子達が涼介を入れろって言ったからだぞ！」
「俺たちはだから嫌だって言ったんだ！」
話の内容を聞く限り、涼介の行動班の人達だろう。
慧「涼介の班の子達だね？」
「…….、伊野尾先生。」
慧「涼介は今日ちょっと行けそうにないんだ。だからみんなで楽しんできて？涼介が欠けることで面倒な事があるかもしれないけど、涼介も病気と戦ってるんだ。だから責めないでやってね、。」
「涼介のこと、悪く言ってごめんなさい。」
「俺たち自分のことしか考えて無かった。」
慧「分かってくれたらいいんだ。ほら支度しないと集合時間に遅れちゃうよ！」
正直辛かったけど、これであの子達も分かってくれただろう。
涼介「ぼく……れんしゅうしたのにっ、」
部屋に戻ると布団にくるまって涼介が泣いていた。
慧「……涼介。」
涼介「………っあ、おにいちゃんっ、」
慧「泣くともっと具合悪くなっちゃうよ。」
涼介「……おにぃちゃん、だっこ。」
俺の胸に飛び込んできて涙を流す涼介。
慧「悔しいよね、あんなに練習したのにね。」
涼介「……っく、ふぇぇん、ぁ……」
ついに悔しさが爆発して声を上げて泣き始めてしまった。
本当ならずっと涼介をこうして抱きしめててやりたいのに、俺も担当クラスの引率に行かなきゃ行けないから、養護教諭の先生に任せる他なかった。
慧「ごめんね。涼介、行ってくるね。」
眠った涼介が起きないうちに俺はホテルを出発した。
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年5月1日 16時
