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慧side
当日の朝もきちんと起きることが出来た涼介。
2人で大きな荷物を持って一緒に学校まで歩く。
慧「重い？お兄ちゃんもとうか？」
涼介「いーの！自分でできるよ！」
最近は何でも自分でやりたい事が増えて、嬉しい反面ちょっぴり寂しい。
2年前までは全部、お兄ちゃん、お兄ちゃんって甘えてきたのに……と少ししみじみしてしまう。
兄弟2人で生きてきた分その感情も強い。
慧「お友達と仲良くね。楽しんで。」
涼介を彼のクラスの列まで送り届けてから俺も自分の担当クラスの列へとついた。
・
1日目はあっという間に終わった。
目的地に着いたら少し体を動かしてホテルへと入る。
慧「涼介、バス酔わなかった？薬も忘れないでね。」
夕食会場で軽く涼介に声をかけた。
涼介「うん！へーき！」
俺の方は見向きもせずに声だけの返事……
でもそれぐらい楽しいって事なんだよね、って自分に言い聞かせて自分の席へと戻った。
・
2日目は自主研修で班ごとに回る日。
涼介もこの日をすごく楽しみにしていて、何回も訪れる場所を念入りに調べていた。
それなのに。
「伊野尾先生、涼介くんの具合が悪そうだって、部屋の子たちが。」
朝方に入ったそんな知らせに、俺は自然とため息が出るのがわかった。
慧「涼介ー？はいるよ？」
みんなが朝食を取っている間に涼介が眠っている部屋へと顔を出した。
涼介「……おに、……ちゃ……」
布団から顔を出した涼介の顔色は真っ青だった。
慧「つらいね……目、閉じな。気持ち悪いでしょ。」
涼介「……おきれるっ、おきれるからっ、」
慧「無理はダメって約束したでしょ？いつもより顔色が悪いからもう少し寝てよう？それで良くなったら自主研修も行っていいから。」
涼介「ん……、」
涼介の体はやはり、突然の環境の変化についていけなかったみたい。
枕元にはしおりが置いてあって、不格好に付箋がたくさん貼ってある。
穴が開くんじゃ無いかってくらい読み込んで調べて。
幼稚園の頃から泊まりがけの行事は経験させてやれていなかったから、その分今回は涼介にとって初めての経験。
慧「頼むから、良くなれよ……」
何としてもいかせてやりたい。
そんな思いを込めながら茶色がかった髪の毛をそっと撫でた。
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年5月1日 16時
