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大貴side
ガチャリとドアを開けると、力が途端に抜けて四つん這いになってしまう。
肺に必死に空気を取り込むけど、息は治らぬまま。
大貴「はぁっ………っは、っぅ、………っ」
「ぅっ……うぇっ………っ…、げほっ、」
遂に吐き気まで催して、常備していたビニール袋に戻してしまった。
吐いても吐いても収まらない吐き気に涙が止まらない。
「…どうしたの？平気？」
突如上から降り注いだ声に体が硬直する。
人がいるなんて思ってもいなかった。ミスをした。
大丈夫です、そう言って立ち去りたいのに足も動かせないし、顔もあげることができない。
「……気持ち悪くなっちゃった？保健室いく？」
保健室なんて地獄だ。体をベタベタと触られ、誰が寝たのかわからないベッドに寝るなんて。
「……嫌か。じゃあちょっとさすると良くなるからね。」
突然背中に当てられた手。
びっくりして体こそ飛び跳ねたが、何故だかあれだけ人に触れられる事に嫌悪感を抱いていた俺なのに、その手は心地よく感じた。
その手は。しばらく俺の背中をずっとさすっていてくれた。
大貴「もう、大丈夫です、……ありがとうございました、っ」
顔を上げれば綺麗な顔。見慣れない顔だった。
「ん。よかった。俺、山田涼介。君は？」
大貴「あ、ありおか、だいきです、」
涼介「そっか、大ちゃんね。」
大貴「大ちゃんって、」
涼介「大貴だから大ちゃん。……だめ？」
家族以外の会話するのは何年ぶりだろうか。
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作者名：あむ
| 作成日時：2020年5月1日 16時
