33 ページ35
裕翔side
俺がお揃いの甚平を抱えて向かったのは侑李が好きだった中庭。
いつから2人で来ていないのか。
それが分からないほどにご無沙汰だった。
俺はその場にしゃがみ込んで涙を流した。
甚平が濡れちゃうなんてこと考えずにギュッと抱きしめながら。
「あっいたいた。だだっこゆうと。」
俺の頭上から言葉が降ってきて顔を上げると、山ちゃんが立っていた。
涼介「もうお祭り始まるぞ？」
裕翔「……ゆーりがっ……いけないなら、いかないしっ……」
泣きすぎて途切れ途切れになった俺の返答。
涼介「裕翔がそんなだと侑李が怒るぞ？侑李は裕翔に楽しんで欲しいって思ってると思うよ？」
さっきまで頭上からしていた声は、俺のすぐ耳元の近くに切り替わっていた。
涼介「大丈夫さ。侑李にも甚平着せてあげるから。裕翔にできるのはお祭りを楽しむことだよ？俺と一緒に行こう。」
裕翔「ほんとにっ……？」
俺が顔を上げるとだいすきな顔がすぐそこにあった。
涼介「あははっ泣きすぎだよ裕翔。早く着替えて行こっか。」
俺の手は優しい山ちゃんの手に包まれて、ゆっくりときた道を戻った。
それから山ちゃんが機械をよけながら侑李にピンクの甚平を着せてくれて俺にもお揃いの水色の甚平を着せてくれた。
裕翔「侑李、よく似合ってるよ。行ってくるね」
いつも侑李とばかりいるため、他の小児病棟の友達は1人もいないから山ちゃんが一緒に回ってくれた。
友達と一緒に回ってる子をみると侑李の姿が浮かんで鼻の奥がツンとした。
でも山ちゃんは俺を元気づけるためかずっとお話ししてくれて楽しかった。
お祭りの終わり頃、射的の景品がふと目に止まった。
2つ並んで置かれたウサギのぬいぐるみのキーホルダー。
それがなんだか俺と侑李に見えて欲しくなってしまった。
気がつけばおもちゃの銃を構えていたけど、なんせ射的をやるのは初めて。昔からあったけど難しそうで避けていた。
意外にも引き金がゆるくて手がかかった途端に打ってしまった。
裕翔「うわっ」
パンっと軽い音がした後に聞こえたのはベルの音。
どうやら1番難しい景品のゲームに当たったらしい。
おじさんがおめでとうと、少し悔しそうに景品を手渡してくれたけど、、
裕翔「これじゃなくてそっちのキーホルダーが欲しいです」
おじさんにはとてつもなく驚かれたけど快く交換してくれた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凪(プロフ) - まちゃさん» 嬉しい感想ありがとうございます！はじまりのメロディ読ませて頂いているのでコメント頂けて光栄です、、！ (2020年1月25日 18時) (
レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - ヒカリを読んで、0or50も読んで、最後に目頭が熱くなりました。明日読んだら…泣いちゃうかな。笑い これからも頑張ってください! (2020年1月21日 20時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - ありやまの時のヒカリから見ていましたがすごい感動しました！友達の大切さもわかります！この小説も前作もとても素敵なお話でした！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: a73d88ca23 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - なつめろさん» そのような感想を持っていただけて本当に嬉しいです、！ありがとうございます。 (2020年1月10日 23時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - 僕としーちゃんさん» 嬉しい感想ありがとうございます！次も頑張ります、、！ (2020年1月10日 23時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ
| 作成日時：2019年7月16日 12時
