11 ページ13
光side
涼介が大ちゃんのことを思い出してパニックになったのはいつぶりだろう。
大ちゃんが亡くなってすぐは、ずっと情緒不安定で絵を見ては抱きしめながら涙を流していた。
最近では強くなったと思って油断していた。
涼介の中にも、もちろん俺の中にもまだ大ちゃんはいて、ちょっとした病院の節々からでも思い出せてしまう。
俺も涼介ももう大切なものを失いたくないと決めたあの日から、変な風に強くなってしまった。
俺は患者を失うことを恐れて処置を施せず、一時は医者生命が危ぶまれた時さえあり、涼介も病院で小さな子を見るだけで大ちゃんと結びつけて、1人で泣くようになった。
でも侑李と裕翔がこの病院で生まれたあの日から、俺たちは変わった。
失うことを恐れるのではなく、失うことを防ごうと2人を守ろうとする考え方に変わった。
・
・
・
そんな思い出に浸っていると、前から走って来たのは侑李。
え？走ってる？
そう気がついた時にはもう遅くて駆け寄ったその瞬間に膝から崩れ落ちた。
光「あっぶね」
間一髪で侑李を抱き上げるとすぐさま寝息が聞こえた。
どうやら発作は免れたようだ。
そのことに胸を撫で下ろし、侑李をベッドに運んでやる。
そっと寝かせると、俺は異変に気がついた。
それは隣に裕翔がいないこと。
この2人はお互いに依存しているから少しでも離れるのを嫌がる。
どっちかがICUに入ればもう片方も不安定になり熱を出す。
そんなことはザラだ。
いつも2人で手を繋いで移動をする姿を微笑ましく見守るのはこの病院の日常でみんなの癒しだ。
それなのに侑李だけ息を荒げて走ってくることなどおかしい。
侑李が気を失って1時間くらいが経った頃だろうか。
まだ少し荒い息で眠る侑李の頭を撫でると
侑李「やま………ちゃ、ん」
とつぶやいた。
寝言でそんなことをつぶやくところをみるときっと原因は涼介がパニックになったことだろう。
俺は起こさないようにゆっくりと侑李を抱っこして、涼介の病室に足を進めた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 222人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凪(プロフ) - まちゃさん» 嬉しい感想ありがとうございます！はじまりのメロディ読ませて頂いているのでコメント頂けて光栄です、、！ (2020年1月25日 18時) (
レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
はっちゃん - ヒカリを読んで、0or50も読んで、最後に目頭が熱くなりました。明日読んだら…泣いちゃうかな。笑い これからも頑張ってください! (2020年1月21日 20時) (レス) id: 0d57913dc4 (このIDを非表示/違反報告)
まちゃ(プロフ) - ありやまの時のヒカリから見ていましたがすごい感動しました！友達の大切さもわかります！この小説も前作もとても素敵なお話でした！ (2020年1月17日 21時) (レス) id: a73d88ca23 (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - なつめろさん» そのような感想を持っていただけて本当に嬉しいです、！ありがとうございます。 (2020年1月10日 23時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
凪(プロフ) - 僕としーちゃんさん» 嬉しい感想ありがとうございます！次も頑張ります、、！ (2020年1月10日 23時) (レス) id: 1693d0e47d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あむ
| 作成日時：2019年7月16日 12時
