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裕翔side
悴む手を揉みながら1人の生徒の登校を待つ。今日はもう1時間目の授業も終わってしまったな。日に日に登校時間が遅れていることに心配が募る。
そろそろ2時間目が始まるから一度中に入ろうかと諦め掛けた時、一台のタクシーが門の前に停車する。
侑李「……っ、すいません、遅れました、」
小さな体で慧くんを支えている侑李くん。慧くんの機嫌が見るからに悪くて、侑李くんは寝癖がついたままだった。いつもはきちんとしている身なりも整える暇がなかったことが伺える。
目の下には隈がくっきり。
お母さんが今は出張に行っていて、慧くんの不安定が続いていることは一昨日侑李くんが教えてくれた。
裕翔「いえいえ、来てくれただけで嬉しいです。……侑李くん、そのまま学校に、?」
侑李「はい、休めないので…。今日も殆ど寝てなくて凄く機嫌が悪いし多分ご飯も食べられないので、リュックにゼリーと薬だけ入れてあります。昼に飲ませてやってください。」
昨日はバスに乗り遅れても歩いて来ていたのに、今日はタクシーを使ったところを見ると慧くんは歩く気力も無いのかな。
裕翔「分かりました。慧くんのことはお任せください。侑李くんも気をつけてね?」
侑李「…はい、じゃあお願いします、」
ふらふらと歩いていく侑李くん。いつもなら慧くんが校舎に入るまで門の前で見守っていることを知っている。
それほど切羽詰まった状況であることが分かる。
俺の腕に巻きつく慧くんも、瞳がぐらぐら揺れていた。
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作者名:あむ | 作成日時:2021年10月29日 16時