カラフル 2 (ページ11)

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侑李side

侑李「なんでだよっ！！何で！僕は謝りたくなかった…っ、！！僕は、悪くないっ、」

駐車場について、母さんの手を振り払う。
だって、向こうから謝罪の一つも貰っていない。それなのにノコノコ帰るなんておかしい。

『……侑李。』

声色がさっきよりずっと優しい。…振り返った母さんは少し口角を上げてこちらに歩み寄ると、ふわりと僕を包み込んだ。

その安心する温度と甘い香りに、ぶわりと涙が込み上げてくるのを感じた。

『分かってるよ。…侑李が悪くないことなんて、母さんがいっっっちばん分かってる。』

体を包まれて、頭を撫でられて。さっきの母さんとは全く違うそのギャップに訳がわからない。

ぐすんと鼻を鳴らした僕を落ち着かせるように、母さんの手が僕の背中をとんとん。

『……侑李は慧を本当に大切に思ってくれているね。……でもね、世界には慧の個性を受容してくれない人もいることも事実なの。…凄く悔しい事だけどね。』

『だから、慧の良さは私たちだけが知っていればいい。私たちが足りない愛も補って、愛してあげるの。』

『あの子の良さが分からないなんて、勿体無いって思ってやればいいのよ。』

侑李「……だからすぐに、謝ったの、？」

『んまぁ、侑李が殴ったのは事実だったし。それに……正直ああいう人って何言っても分からないだろうし。無駄に侑李が傷ついたり、慧が悪くいわれるくらいなら、謝罪の一つや二つくらいくれてやるわ。』

母さんは、耳元でいつものように軽快な笑い声を上げた。

『私って結構演技派でしょ？』

気がつけば母さんは通常運転に戻っていて、車に乗り込もうとしていた。

侑李「…母さん！！」

『…んー？』

侑李「ごめんね、仕事。……無理言って抜けてきたよね。」

『ちょーどいいじゃん！早く上がれてラッキーだった！このまま慧のこと迎えに行こ？きっとすーっごいびっくりするよ。』

母さんと2人で車に乗るのは久しぶりで、支援学校に着くまで他愛もない話をしながら親子の時間を楽しんだ。

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