3 __ 挫ける ページ9
慧side
昨日のことは余りよく覚えていない。
怖くて、怖くて、堪らなかったから脳味噌が勝手に消去してしまったのかもしれない。
多分体に力が入らなくて、がくがく震えていた俺を大貴が半ば担ぐようにしてやっと家に帰ってきたのだろう。
ソファに寝ていた俺は、上のスーツは脱がされていてワイシャツと下のズボンだけになっていた。
大貴「…起きた?」
「薮さんから連絡あったけど、休ませるって返しちゃった。」
慧「ううん、いいんだ。ありがとう。」
今は少し、薮にも仕事にも背を向けたい気分だったから。
大貴にも相当な心配と迷惑をかけてしまったと思う。
俺の顔を覗き込んで不安げに眉を落とす姿を見て、申し訳なく感じる。
大貴「…俺学校行くけど大丈夫?」
慧「うん、いろいろごめんね。少し休むことにする。」
時刻はもう大貴の学校が始まるギリギリで、俺が自然と目を覚ますまで待っていてくれたのか、と心がじんわりとした。
大貴「うん。帰りにさ、ケーキでも買ってくるから。楽しみにしてて。」
慧「…秋だしモンブランが旬かもね。」
大貴「ご要望まで言えるなら、心配ないな。行ってきます。」
1人残された小さな部屋でソファに寝そべりながら、ぼんやりと天井を見上げる。
昨日のことは思い出したいけど、忘れていたい。
矛盾している感覚の中で、耳に残った電車の警笛が俺の気分を悪くさせた。
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朝光 - 初コメ失礼致します!群青のパスワードをお教えして頂きたいのですがよろしいでしょうか? (2022年3月7日 23時) (レス) id: 13ebdf4ed8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作成日時:2021年9月30日 15時