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宏太side



伊野尾の事を上手くフォローできぬまま、相手方の会社に出向いて、もう一度オフィスに戻って来られたのはとっくに定時を過ぎた頃だった。



もうオフィス内には人気がない中で、真っ暗闇で光るものを見つけた。



漏れ出た光は、伊野尾のデスクに置かれていた携帯からで鞄も丸ごと置きっぱなしの状態だった。



電話は伊野尾の息子の大貴くんからで、涙声で呼ばれた彼の名を電話越しに聞いた時、



自分がとんでもないことをしてしまったのだと理解した。



俺は、伊野尾の荷物一式を抱えて夜の街に飛び出した。














オフィスからさほど離れていない静かな路地で、街灯に照らされた見慣れたストライプスーツの彼を見つけた。



宏太「…伊野尾っ!!」



俺が声を荒げるや否や、覚束ない足取りで怯えるように俺から逃げる。



慧「……はなしてっ、…はなしてよぉっ、…やめて、」



宏太「大貴くんも探してる。何してんだこんなとこで。」



目の前にいる彼は、本当に俺が知っている伊野尾なのだろうか。



慧「……もぅ、ほっといてよぉ、っ…おれなんて、どうせ、っ」



トレードマークだったストライプスーツはぐちゃぐちゃに着崩され、胸元のネクタイも半分解かれたまま。



革靴は片方脱げて白い靴下のまま歩いていたようだった。



俺の手をか弱い力で振り解こうと藻掻き、えぐえぐと泣いている。



栗色の髪がぐしゃぐしゃに乱れて、伊野尾の可愛らしい目を覆い隠していた。




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朝光 - 初コメ失礼致します!群青のパスワードをお教えして頂きたいのですがよろしいでしょうか? (2022年3月7日 23時) (レス) id: 13ebdf4ed8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あむ | 作成日時:2021年9月30日 15時

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